研究成果の概要 |
「ロールプレイ教材(中学校3年, 図形分野)」を開発・実践し, 「社会的オープンエンドな問題(島田・馬場, 2014)」の視点から分析した。ロールを設定することで, 生徒は価格表示や広告など数学にとどまらない自由度の高い考察を活発に行うことができた。アンケートでは考察の際に意識したこととして「単純な計算だけで答えを終わらせないこと」という記述がなされるなど, 生徒たちが本教材を社会的オープンエンドな問題として扱っていたことが散見され, ロールプレイ教材を数学科授業で扱う価値を見いだすことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究代表者らによる過去の研究(井上・服部・松原・袴田, 2018)では, 生徒にとって「真正な問題」を題材とし, 5つの社会的オープンエンドな問題の特性(島田・馬場, 2014)に留意して教材開発を行った。それは, 資質・能力に着目した教材開発という視点で意義のあるものであったが, 生徒にとって「真正な問題」は数多く存在するわけではなく, 同様の教材を開発することは容易とは言えない。本研究では, 数学授業におけるロールプレイ教材の価値を見いだすとともに具体的な教材を提案しており, 新学習指導要領で求められるような社会的な資質能力を育むための教材開発の幅を拡げるという観点において社会的意義があると言える。
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