研究成果の概要 |
液体中でプラズマを発生させる技術(液中プラズマ技術)を用いると, 廃油を簡単に分解して水素を製造することができる. 従来は個体炭素析出によって放電が阻害され, 長時間製造ができないという問題があった. 本研究では廃油の主成分であるn-ドデカンを分解対象とし, プラズマ反応場に高温水蒸気を効率的に導入する方法を考案し, 水蒸気供給による炭素除去を試みた. 実験の結果, 水蒸気供給によって個体炭素が除去され, 連続的に水素を製造することができた. また, 水の分解反応と, n-ドデカンの水蒸気改質反応が加わることにより, 水蒸気を供給しない場合に比べて水素製造量が30%向上した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
CO_2などの温室効果ガスや廃棄物の大量排出による環境負荷を提言し, 持続型社会を実現することは現代社会における最も重要な課題の一つである. 水素は燃焼時にCO_2を排出しないことから化石燃料にとって替わるクリーンエネルギーであるとして注目されている。また水素はエネルギー密度が高く, 輸送機器の燃料や貯蔵に適すというメリットもある. 液中プラズマ技術を用いれば, 廃油を分解して水素を得ることができ, 地球温暖化と廃棄物処理問題を同時に解決できる可能性がある. 従ってこれを実用化することは現代社会にとって非常に重要である.
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