研究課題
奨励研究
慢性骨髄性白血病(CML)において重要な役割を果たしているJanus kinase/signal transducer and activator of transcription(JAK/STAT)経路の中のSTAT5に関し、病態との関連が深い遺伝子多型(rs6503691C>T等)と治療効果、およびBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の血中濃度との関連を検討した。イマチニブやニロチニブにて治療を行った141例を対象とした本研究においては、STAT5の遺伝子多型と分子遺伝学的効果の達成率や血中トラフ濃度との間に有意な相関は見出されなかった。
イマチニブおよび次世代BCR-ABL TKIにより、CMLの治療目標は治癒にまで進展を遂げる中、未だ15-20%はこれらTKIに耐性・抵抗性を示す。CML細胞の根絶には新規の分子を標的とした治療法の確立が必要と考えられている。STATをコードする遺伝子に変異がありそのシグナル伝達が低下する症例はTKIに対する感受性が高いと予想され、これらTKIの有効性が高い症例を予め抽出することが可能となれば、過剰な投薬さらには副作用の発現回避にも繋がる。本研究による成果は、CMLの治癒に向けたTKI治療のニッチを埋める一助となるものと期待できる。
すべて 2019
すべて 学会発表 (2件)