研究課題
奨励研究
炭酸リチウムは、双極性障害などの治療薬として精神科領域で幅広く使用されている。一方で近年、炭酸リチウム服用患者は腎機能障害のリスクが高いことが懸念されている。本研究では、大規模副作用自発報告データベースを用いた解析により炭酸リチウムとの併用により腎障害の抑制効果が示唆される既存医薬品として、アリピプラゾールを抽出した。病院診療情報の解析により、アリピプラゾール併用群でリチウム誘発腎障害の発生率が低い傾向があることを明らかにした。また、モデルマウスを用いた検討により、基礎的知見を集積することができた。
リチウム誘発腎障害の治療薬および予防薬は存在せず、炭酸リチウムを安全に使用するために、リチウム誘発腎障害のリスクを軽減するための予防薬の創生は重要な課題である。予防薬候補であるアリピプラゾールは炭酸リチウムと同じ精神疾患に使用されている薬剤であることから、有効性や安全性に問題は少なく、これらの併用療法が副作用対策を考慮した治療戦略のひとつになる可能性がある。
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