研究課題/領域番号 |
19H00529
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分2:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中山 一麿 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 招へい研究員 (10420415)
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研究分担者 |
落合 博志 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (50224259)
伊藤 聡 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (90344829)
山崎 淳 武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 教授 (20467517)
牧野 和夫 実践女子大学, 研究推進機構, 研究員 (70123081)
高橋 悠介 慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (40551502)
大田 壮一郎 立命館大学, 文学部, 教授 (00613978)
須藤 茂樹 四国大学, 文学部, 教授 (20612047)
森實 久美子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部文化財課, 室長 (70567031)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2021年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2020年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
2019年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 新安流 / 九華山地蔵寺 / 覚城院 / 備中国分寺 / 蔵書目録 / 安住院 / 寺院文献資料学 / 神道灌頂 / 寺院経蔵 / 寺社文書 / 寺社縁起 / 聖教 / 経蔵 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多数の寺院に残る大量の歴史的文献を調査し、その情報を客観的且つ統計的に分析することにより、多寺院間の書物の移動に基づく、「知識の広がり」、「地域間の繋がり」、「時代による布教活動の特徴」などの研究を行うことを目的とする。その為に必要な現地調査や典籍撮影、およびデータ閲覧システムの開発などを平行して行う。それらの成果は継続的な出版計画や現物の展覧会などで学界および一般社会にも公開していく。
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研究実績の概要 |
2021年度は前年度に引き続き新型コロナウイルスの蔓延により、本科研の活動も制限を余儀なくされ、以下の成果の一部は2022年度に跨がって遂行された業績も含む。 本年度を代表する成果は7月に刊行した『寺院文献資料学の新展開 第10巻 神道資料の調査と研究Ⅰ 神道灌頂玉水流と西福寺』(監修中山一麿・編集伊藤聡、臨川書店、全600頁)である。本書は論文5篇、資料紹介2篇、及び西福寺と高幡不動尊金剛寺の神道資料を網羅する目録・解説・翻刻よって構成される。これまで限られた研究者のみが傍証として間々利用してきた近世神道灌頂資料を、専論として取り上げ、多くの翻刻資料をはじめとする豊富な研究情報を提供するものとなっており、今後の隣接する諸分野での活用が期待される一冊となっている。 本年度も現地調査は感染状況に細心の注意を払いつつ慎重に行わざるを得なかったが、安住院・地蔵寺・木山寺・覚城院・善通寺等では必要最低限の日数と人員に限って研究データの収集に努めた。中でも本年度は安住院の調査に力点を置いて進めた。 その成果は大阪大学古代中世文学研究会と本科研の合同で開催した研究報告会「知られざる古筆・断簡と寺院経蔵―瓶井山禅光寺安住院―」(2021・11、於大阪大学)でその一部を公開、報告した。本研究会は若手の登用と参加を促進するものでもあり、後進の育成にも有益なものとなった。 また、中山はReMo研が企画するシンポジウム2021「東西中世における修道院・寺社の書物文化──制作・教育・世界観の変容」においてキーノートスピーチ「寺院経蔵の形成・継承・変容―蔵書の役割を視点として―」を行い、西洋と東洋の古典籍を対象とする研究者の相互交流に一役果たし、研究の広がりに寄与した。 以上、分担者・協力者が発表した刊行物・学会発表等に関しては業績録に譲り、本年度の実績、及び活動内容のうち主要なもののみ略述した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
人員の移動と集合を伴う現地調査を基盤としている本事業にとって、極めて厳しい社会状況であったが、研究遂行への様々な工夫で対処してきている。 研究会は会場を最低限の人数に絞り、オンライン併用で行った。寺院側の理解を賜り、必要な典籍の持ち出し許可を戴くことによって、大阪大学内での資料閲覧・撮影をある程度可能にした。現地調査は必要に応じて人数・回数を制限して行った。院生による調書作成・業者による資料撮影の割合を増やし、目録作成の遅延を極力抑えた。研究遂行上の必要な資料は、インターネット上で閲覧可能とした。 如上の対応策の整備すすめつつ、継続して調査活動・研究会を行っており、その成果は着実に出版物としても結実している。加えて、隣接諸分野からの注目度の向上、若手研究者の積極参加と成果媒体の提供など、本研究が遠望する未来像へも歩みを進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究にとってフィールドワークは極めて重要であるが、現状の社会情勢下では十分な現地調査活動を行うことは困難であり、今後の見通しも従来通りの調査活動に戻すことは難しい。故に、これを機に資料収集のあり方の工夫と改善、及び遠隔での情報共有についての環境整備への取り組みに力を注いでいく。これは元々本科研の目的の一つであるが、現在の状況はその必要性を更に切迫したものにしており、本事業全体に占める割合も増やしていく。一方、予定している出版計画は社会情勢と各寺院での調査進捗に照らして再調整をはかり、出版順序を適宜入れ替えつつ進めて行く。 本研究は既に長年のデータ・画像の蓄積があり、これを整理・活用することで、研究上の不都合を最小限に抑える事が可能である。また、現地調査に代わる手段として、寺院側から持ち出し許可をいただいた典籍は、大阪大学内で調査・撮影することが可能となっている。 これらの対策により一応の研究推進に問題は無いが、定期的な対面での研究談義が出来ない状況であることの影響は、徐々に各々の発想の膠着を生むであろうと懸念する。社会情勢の回復を一日も早く祈念する。
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