研究課題/領域番号 |
19H00555
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分4:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
赤嶺 淳 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (90336701)
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研究分担者 |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 教授 (20324676)
福永 真弓 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (70509207)
大元 鈴子 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (70715036)
高橋 五月 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50791084)
濱田 武士 北海学園大学, 経済学部, 教授 (80345404)
濱田 信吾 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 准教授 (00734518)
久保 明教 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00723868)
井頭 昌彦 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (70533321)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2023年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2020年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | 資本主義再考 / 技術革新 / スケーラビリティ / サプライチェーン / 不確定性 / 油脂間競争 / 外国人研修生 / 小規模水産物 / 偶発性 / リスク・マネージメント / マルチサイテッド・アプローチ / 技術継承 / 外国人材 / 外国人実習生 / リスク / 消費 / seascape / wilderness / resilience / supply chain / capitalism / マルチサイテッド / レジームシフト / 不確実性 / 共同研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は現代社会を象徴する大量生産・大量消費の生活様式が、気候変動や海洋環境をはじめとする種々の不確実性を高めてきたとの認識にたち、そうした不確実性への適応力(レジリエンス)の高い水産業へ転換していくための社会的課題と対応策をあきらかにする。具体的には、マグロやサケなど日常的に消費される魚類の遺伝資源から養殖飼料用の魚粉までを対象とし、(a)生産から流通、消費をつなぐサプライチェーン(SC)の成立過程、(b)SCに生起する重層化した不確実性の因果関係群の相互関係を分析し、(c)各種の認証制度をふくむ、不確実性に適応しうる社会的対応策を提言する。
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研究実績の概要 |
研究代表者の赤嶺淳は2022年11月にパナマで開催されたワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議において附属書IIへの掲載が提案されたナマコ類3種の資源状況を吟味する、国連食糧農業機関(FAO、ローマ)の専門家会合に出席した。ノルウェーの捕鯨と韓国における鯨類の混獲についての調査も実施した。韓国調査は、大学院生をはじめ、捕鯨業関係者も参加した、マルチサイテッド・アプローチ(MSA)であり、本研究課題のひとつである共同調査の可能性を追求することができた。長津一史は宮城県気仙沼・塩釜、静岡県焼津、茨城県大洗におけるマグロ漁業と同業に従事するインドネシア人船員に関する調査を継続するとともに、インドネシア南スラウェシ州において、新型コロナ禍での特殊海産物利用と流通の変容に関する調査をおこなった。大元鈴子はおもに水産物生産における「食の主権」についての知見を得るため、コロナ禍で大きな影響を受けたアラスカにおける小規模漁業者についての調査を実施した。具体的には、聞き取り調査および小規模漁業者が各年で開催しているLocal Seafood Catch 2022(Local Catch Network主催)に参加した。高橋五月は、常磐沖における沿岸漁業と水産流通に関する研究成果をまとめた単著本Fukushima Futuresの出版に向け、最終的な編集作業に従事した。くわえて日本国内と米国ニューヨーク州地域の沿岸観光スポット、水族館、量販店にて現地調査をおこない、その研究成果の一部を国際学会(AAS)にて口頭発表した。濵田信吾は、北太平洋における子持ち昆布漁業の発展過程を調査するため、築地、豊洲および札幌において市場関係者と商社への聞き取り調査を実施し、1960年代に北米北西海岸部で発展した子持ち昆布漁の商業化に貢献した日本人と企業の存在を確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は海外におけるフィールドワークも、ほぼ予定どおり実施することができた。そうした環境のなか、これまでの3年度に蓄えてきた国内での調査研究と文献研究とを融合した、マルチサイテッドな研究成果の発信をおこなう態勢がととのってきた。とくに大学院生と捕鯨関係者8名とともに実施した韓国南東部における鯨類の混獲状況と捕鯨の記憶に関する調査では、異なるキャリアをもつ人びとによる共同調査というマルチサイテッド・アプローチ(MSA)を実践することができた。方法論としてのMSAは、本研究を組織した目的のひとつであったが、Covid-19感染拡大のため、実施できずにいたわけであるが、2022年度に実施することができたことは、本研究の進捗を評価するうえで、特筆すべきことである。そのための勉強会も6回、オンラインで実施して臨んだだけあって、期待以上の成果をあげることができた。Food and Foodways勉強会も、対面で5回開催することができた。
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今後の研究の推進方策 |
5年間の研究計画の最終年度となる2023年度は、これまで十分にできなかった海外調査を中心に組みたてることにする。同時に、2019年度からの研究成果の発信をおこなう。その意味では、高橋五月が、米国のワシントン大学出版から単著を出版することは、本研究の成果でもあり、喜ばしいことである。高橋以外の分担者についても、海外にむけて研究成果を発信するため、学会誌はもちろんのこと、研究代表者の赤嶺が香港中文大学のSidney CheungとともにアドバイザーをつとめるRoutledge Open ResearchのCulinary Heritage(2023年11月5日〆切)にも、投稿をうながしたい。
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