研究課題/領域番号 |
19H00570
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分5:法学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中川 丈久 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10252751)
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研究分担者 |
竹内 真理 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00346404)
黒沼 悦郎 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (40170138)
川島 富士雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (80234061)
渕 圭吾 神戸大学, 法学研究科, 教授 (90302645)
興津 征雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10403213)
玉田 大 京都大学, 法学研究科, 教授 (60362563)
小島 立 九州大学, 法学研究院, 教授 (00323626)
島村 健 神戸大学, 法学研究科, 教授 (50379492)
成瀬 剛 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 准教授 (90466730)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,200千円 (直接経費: 34,000千円、間接経費: 10,200千円)
2023年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2021年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2019年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
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キーワード | 域外適用 / 国際法 / 行政法 / 立法管轄権 / 執行管轄権 / 国境 / 公法 / 国内法 / プラットフォーム / 競争法 / 国際刑事法 / グローバル化現象 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,「国内公法のグローバル化現象」(行政法規を国外の行為にも適用すること/国際約束をもとに行政法規を立法し国内で実施すること)により,国境が,固定されたものでなく,法的に操作可能なものへと変容している現実に着目し,これに対処しうる21世紀型の公法(行政法)理論を,金融法,競争法,消費者法,環境法,租税法,知的財産法,さらに刑事法,国際法の研究者が並行的に比較する作業を通じて構築する。これにより,オンライン・プラットフォームや仮想通貨など,国境が意味を持たないデジタル化した諸活動に対する国家による規制手法の新原理を示し,国境内の行政過程のみを想定していた法制度設計の考え方の変革を目指す。
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研究実績の概要 |
2021年度から,研究の中心軸を,立法管轄権から,執行管轄権の域外行使に移した。立法管轄権については,域外適用の法理のほとんどが国内法の解釈の問題であることを明らかにしたのに対し,執行管轄権については,その分類それ自体の検討を行った。 まず,国際法学における「立法管轄権」と「執行管轄権」の区分そのものに対する国内法学からの疑問点を整理し,国際法学,および国内法学(とくに公法学)との対話の機会を,外部からの話題提供者をお呼びし,繰り返し設けた。その結果,国際公法学における国家管轄権の分類の視点がいかなる点で,国内公法学における国家権力の分類の視点と異なるのか,また,国内公法学(行政法学)における「行政過程論」や「法の継続的形成」の視点が加わっていることから,さらにその乖離が大きくなっていることが明らかになった。国際公法学において,国内法学の成果を適宜用いている点がある一方で,国内公法学では国際公法学の議論をほとんど参照していないことが,あ国内法と国際法の間の対話を阻害していることも確認された。 そこで,国際法学における国家管轄権の成立の歴史に遡り,そこに,国内公法学における国家権力分類を援用する必要がある場面が,どこまであるのかの検討を行った。 その一方で,電子データを対象物とする場合の国家権力(執行管轄権)の域外適用の捉え方の研究をするための準備作業を始めた。刑事法,国際法の専門家を招いて,国際的な議論の現状把握に努めた。国内の刑事実務における域外データ捜査における国際法的な観点及び国内法での規律の観点の混成を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
立法管轄権の研究を終え,執行管轄権の研究に移行することができた。 理論的側面としては,国際法学と国内公法学との視点の違いをかなり明らかにすることができ,かつ国際法学が国内法学の概念を「つまみぐい」する一方,国内法学は,国際法学を「敬して遠ざける」傾向にあり,没交渉的に議論が進められてきたことの問題性を認識することができた。 実務的側面としては,データに対する越境捜査という,最高裁判決もありまた実務的取り組みが進められている場面から調査を始めることができた。こちらは,刑事法学の国内法としてものこれまでの蓄積が,電子データという越境性が顕著な対象にどこまで適用可能かを検討した。 こうして,執行管轄権に焦点をあてた研究ステップへ移行することができた。 国際法学において,執行管轄権それ自体についての詳細な研究があるわけではなく,控除的概念として使われている現状を,より生産的な議論に変えていく方策を得ることができたため,研究はおおむね順調に進行していると自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
執行管轄権に焦点を絞って,概念の整理,国際公法学における国家管轄権論それ自体の再整理の試みを行うため,国際公法学との一層密接な対話,共同検討を行う。 同時に,電子データを対象として,越境的捜査,越境的行政規制の仕組みの現状調査を行う。国内法の域外適用だけでなく,その応用として,各国当局間が越境的に組み立てる規制の仕組みを,各国内法でどのように仕組むのかという視研究点である。 以上をふまえて,域外適用について,解釈論,立法論の双方にわたる基礎理論の構築という,本研究の目指したことへの到達を目指す。
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