研究課題/領域番号 |
19H00581
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分6:政治学およびその関連分野
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
飯田 文雄 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70184356)
|
研究分担者 |
辻 康夫 北海道大学, 法学研究科, 教授 (20197685)
米原 謙 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい教授 (30137301)
津田 由美子 関西大学, 法学部, 教授 (30247184)
西山 隆行 成蹊大学, 法学部, 教授 (30388756)
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40398912)
渋谷 謙次郎 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (50346277)
安井 宏樹 神戸大学, 法学研究科, 教授 (60396695)
塩川 伸明 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 名誉教授 (70126077)
月村 太郎 同志社大学, 政策学部, 教授 (70163780)
小川 有美 立教大学, 法学部, 教授 (70241932)
早川 誠 立正大学, 法学部, 教授 (80329010)
河村 真実 神戸大学, 法学研究科, 助手 (30911242)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
30,420千円 (直接経費: 23,400千円、間接経費: 7,020千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2020年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2019年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
|
キーワード | 多文化主義 / 政治哲学 / 政治史 / 政策研究 / 移民 / 多文化共生 / 入国管理政策 / 社会政策 / 難民危機 / 労働政策 / 年金政策 / 人権政策 |
研究開始時の研究の概要 |
難民や不法移民等の非正規入国者への対応が本格化する2010年代以降、各国の多文化共生論に生じた変化について、人権・社会政策・入国管理という個別政策の改革論と、多文化共生政策形成システム全体に関する改革論に則して考察する。そのため、政治哲学と政治史学が協働し、各改革の基本構想形成過程や具体的実施過程で生じた論争に関して多面的な比較を行い、1980年代以降今日に至る多文化共生論の全体像を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究は、多文化共生社会論を巡って、非正規入国者への対応が本格化する2010年代以降に生じた変化を、人権政策・社会政策・入国管理政策という3つの政策領域における多様な改革論争に則しつつ解明することを目指すものである。その中で、本年度は、非正規入国者の入国それ自体の直接的な規制に関わる入国管理政策をとりあげ、以下の諸問題の考察を行った。 (1)本研究ではまず、政治哲学・政治史学等の領域で行われた、多文化共生社会における近年の入国管理政策改革を論じた多様な先行研究を幅広く収集し、その特色や問題点を研究参加者全員で批判的に検討した。その結果、①専門的な労働技能の有無に着目して異なった滞在条件を付与する選択的入国政策に関しては、それを現代社会に共通する業績主義的な社会規範に適合性なものとみなし、一定程度肯定的に評価する見解が有力化しつつある②受入国の言語や歴史理解という政治的・文化的能力を入国要件とするシティズンシップ・テスト政策に関しては、それが文化や国家に関わる人間の根源的能力の操作につながる危険性を強調する、理念的な次元での反対論が有力化しつつある、等の重要な知見が判明した。 (2)更に本研究では、2010年代以降の北米・西欧・東欧諸地域において、多文化共生社会の入国管理政策に生じた具体的変化や、その諸要因等について考察した。その結果、①選択的入国政策に関しては、それが非正規入国者の送り出し国において、能力の高い労働者の流失を従来以上に加速させ、その経済発展を更に阻害する可能性について今後更に慎重な検討が必要である、②シティズンシップ・テスト政策に関しては、政策ステイクホルダー相互間の実践的な政策論争は、テストにおいて問われるべき市民的資質の具体的内容を巡る論争に移行しつつある、等の重要な知見が判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では当初、2021年度の半ば頃までに、日本における文献収集と、北米・西欧・東欧諸地域における現地調査を行うことで、分析に必要な資料の主要部分を揃え、その後国内外での学会報告や研究論文・図書の公刊を行う予定であった。ところが、新型コロナウイルス蔓延により、2021年度の全期間において各国の入国制限が行われたため、外国における現地調査は実質的に不可能となった。そのため、本研究では現地調査用の予算を2022年度に繰り越して現地調査を行うと同時に、日本における文献収集と、外国のカウンターパートの助力、特にオンラインによる現地情報の収集を当初計画より強化して研究を行った。その結果、研究成果の観点から見れば、日本語での学会報告や研究論文・図書の公刊を相当数行った上で、外国語での研究報告もほぼ当初予定通り行うことができたので、最終的に本研究は当初予定した通りの研究成果をあげることが出来たと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は当初計画に従い、近年の多文化共生社会の流動化に伴う多文化共生の政策形成システム全体の特色や、日本の多文化化に関する諸問題等を順次考察する予定である。またその際、新型コロナウイルスの感染再拡大の可能性や軍事紛争の状況などに常時注意し、現地調査の時期を必要に応じて再検討するなど、研究を安全に遂行するために必要な対応策を講じる予定である。
|