研究課題/領域番号 |
19H00594
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 学習院大学 (2021-2022) 一橋大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
石川 城太 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (80240761)
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研究分担者 |
阿部 顕三 中央大学, 経済学部, 教授 (00175902)
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
木村 福成 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90265918)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
冨浦 英一 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (40273065)
古澤 泰治 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80272095)
椋 寛 学習院大学, 経済学部, 教授 (90365065)
柳川 範之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (80255588)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
44,980千円 (直接経費: 34,600千円、間接経費: 10,380千円)
2022年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2021年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2020年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2019年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | デジタルエコノミー / 情報通信技術(ICT) / ビッグデータ / 国際分業 / グローバリゼーション / デジタル通信技術(ICT) / 情報通信技術(ICT) |
研究開始時の研究の概要 |
情報通信技術(ICT)の発達によってビッグデータの国境を越えた移動・活用が容易になり、さらには生産プロセスのデジタル化も始まったことで、国際経済取引や国際分業の形態は大きな影響を受けつつある。本研究は、日本をリードする国際経済学研究者の研究資源を投入してICTの発達を通じたデジタルエコノミーの進展が世界経済にどのような影響を及ぼすかを国際経済学の視点から解明する。特に①デジタルエコノミーによる企業の立地と国際貿易の変容と②デジタル技術の発達に伴う国内的・国際的コンフリクトに研究の焦点を絞る。
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研究実績の概要 |
(課題1)デジタルエコノミーによる企業の立地と国際貿易の変容:①グローバル化とデジタル化が進む東アジアにおける経済統合に関し、全21本の学術サーベイ論文を書籍として取りまとめた。②情報技術と通信技術の導入が生産ネットワーク内貿易に与える影響について、重力モデルを用いて実証分析を行った。③デジタル化の進展による距離概念の変容が集積のメリットに与えた影響と、その結果としてグローバリゼーションと分業体制がどのように変容していくかを分析した。④単一のプラットフォーム(PF)に、サービス提供者と消費者が同時に参入する二面市場について、ゲーム機のようにPF財が物理的に貿易されるケースに注目し、それに対する輸入税の影響について理論的に考察した。⑤音楽配信サービスの浸透が音楽CDの国際貿易に与える影響を分析した。⑥オンラインビジネスとオフラインビジネスの比較検討を行い、オンラインビジネスの理論モデル構築を開始した。 (課題2)デジタル技術の発達に伴う国内的・国際的コンフリクト:①デジタル化時代におけるASEAN諸国の知財保護についての国際共同研究の成果を書籍として取りまとめた。②デジタル化の進行や新型コロナ蔓延、地政学的緊張の増大を踏まえつつ、東アジア経済統合の含意と今後の展望について議論した。③デジタル化とグローバリゼーションが同時進行する中で順応できず取り残される主体が出てきたが、そのことがどのように新たな異質性や格差を生みだすかを研究した。④国際的電子商取引に対する消費税の課税方式について整理するとともに、課税方式の違いが経済に及ぼす影響について理論モデルを用いて分析を行った。⑤新型コロナの貿易に対する影響とEコマースの関係について、世界の月次貿易データを用いて実証分析を行った。⑥AIとロボットに関する技術革新が世界経済に与える影響を、特に労働市場への影響について分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は2つの研究課題からなるが、それぞれ、モデルの構築とそれに基づく理論分析、及び、データの収集とそれに基づく実証分析が核となっている。両研究課題とも理論・実証分析のバランスがとれた形で研究が進行している。2021年度に学術雑誌への公刊は26本(うち査読付きは21本)、図書の刊行は11冊となっており、研究成果もコロナ禍にしては比較的順調に発信できている。 新型コロナの蔓延は落ち着きの兆しを見せ始めたものの、科研費を用いて主催した国際会議やワークショップ(Hitotsubashi Conference on International Trade & FDI, 2021; Hawaii-Hitotsubashi-Keio Workshop on International Economicsなど)は、ハイブリッドあるいはオンライン開催とせざるを得なかった。また、出張も制限されていたため、Zoomなどを駆使して共同研究や研究発表を行ったが、とくに海外の研究者との共同研究や海外で開催された学会での発表に支障をきたした。海外現地調査も、実施できるような状況では到底なく、2020年度に引き続き2021年度の実施も断念した。 一橋大学のバックアップを得て大規模な政策フォーラムをオンラインで開催し、4名の研究分担者に研究成果を一般向けに報告してもらい、パネル討論を行って、デジタルエコノミーのルール・メーキングや経済政策論のための学術的根拠を一般向けに発信した。フォーラムの概要は、日本経済新聞で大きく取り上げられた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナの蔓延やその感染防止策によって、共同研究、研究発表、国際会議・ワークショップの主催、海外現地調査などに支障をきたしてはいるが、研究成果は概ね順調に蓄積されてきている。今後もプロジェクト遂行の支障をなんとか乗り越えながら研究に取り組んで、研究成果をさらに積み上げたい。新型コロナ感染が落ち着きを見せれば、国内外の出張を再開し、国際会議・ワークショップも対面で開催する。海外現地調査は、なかなか見通しが立たないが、調査対象国・地域や時期を柔軟に考えることで極力実施したい。 コロナ禍で急速に進むデジタル化に関して焦点をあてた研究も積極的に行う。とくに、デジタル化がどう企業・労働者、あるいは仕事を変化させていくか、また理論的にどう解釈できるのかを研究する。 理論分析・実証分析とも、分析において得られた結果は、ワークショップや学会などで積極的に発表してフィードバックを得て研究の質を高め、その結果をできるだけ早期に出版・刊行に結びつけるよう努力する。なお、2022年度が最終年度となるので、2つの研究課題で蓄積された個々の分析を相互に検証しあうことによって、新たな知見を得るとともに、近未来のルール・メーキングや経済政策論のための学術的根拠を整備する。
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