研究課題/領域番号 |
19H00595
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分7:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 帝京大学 (2021-2023) 一橋大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
後藤 玲子 帝京大学, 経済学部, 教授 (70272771)
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研究分担者 |
小塩 隆士 一橋大学, 経済研究所, 教授 (50268132)
神林 龍 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40326004)
小林 秀行 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (80363753)
王 薈琳 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 社会労働衛生研究グループ, 特定研究業務研究員 (10961203)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2020年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | ケイパビリティアプローチ / 移動の権利 / 福祉交通政策 / 交通弱者 / 出入り自由なケイパビリティ / パネル調査 / 福祉有償運送 / Cocid-19 / 外出調査 / ケイパビリティ / 障害者 / 要介護要支援 / 高齢者 / 不平等測定 / 貧困指標 / ケイパビリティーアプローチ / 高齢者・障碍者の自立 / 外出の質 / ICECAP-0 / 高齢者・障害者 / 公共的討議 / 自立 / 高齢者・障害者の自立 / ICECAP-O / 高齢者・障害者の「自立」 |
研究開始時の研究の概要 |
所得や効用を越えて、個人の自立や主体性を捕捉するケイパビリティアプローチは、厚生経済学の理論的射程を大きく拡げることになった。だが、次の3つの方法的難問をもつ。①観測不可能なケイパビリティ集合の推定法、②多次元機能空間から構成されるケイパビリティ集合の変化の比較評価法、③多次元機能リストと諸機能間の相対価値の同定法。 本研究では、高齢者の「自立」に関する実証的研究を進めながら、3つの方法的難点を克服する独自の調査分析プログラムを開発し、より総合的な国際比較の枠組をつくり、さらに、現行の「自立」支援政策の改善方法に関して、ケイパビリティアプローチに基づく確かな理論を提供する。
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研究実績の概要 |
2019年2月にA市と一橋大学経済研究所規範経済学センターの協同で実施したパイロット調査、ならびに、2020年2月より開始したパネル調査(計7回)を本年度も継続する(計3回)。本研究の特徴は個人のケイパビリティを3つの利用能力(対環境・対人・対個体)と4つの機能の達成水準(安心・利得・楽しさ・自分らしさ)をもとに、それらの実現可能集合として捕捉する点にある。これまでの調査から、一般高齢者・障碍者・要支援要介護者という3つのグループの間にはケイパビリティ毀損に顕著な相違があること、要支援要介護者と障碍者の間では、外出活動と在宅活動がケイパビリティにもたらす影響に関して、非対称性があること、一般高齢者のケイパビリティ毀損も無視できない大きさであることがわかってきた。各グループの特性に応じた社会的支援の必要性を示唆するととともに、個人の潜在的なニーズをとらえる貴重な手がかりとなる。 本年度は主要な活動は以下である。第一に、パネル調査の追加を通じて分析結果を統計的により確かな方法で確認すること。第二に、次の2つの外生的ショックの影響を解明することにある。1つは2020年代の初頭よりまん延し始めた新型コロナウイルス感染症の影響であり、他の1つは2020年4月より導入された「福祉有償運送普及政策」の効果である。第三に、ケイパビリティ指標に基づく不平等と貧困の計測結果について、学会報告やシンポジウム、論文刊行を通じて国内外に広く発信することである。 研究成果は2本の論文刊行となった。単行本Theory and Practice of Capability Approachの準備を始めた。また、オンラインでのアカデミックシンポジウムを開催して、大学-行政-市民の連携プロジェクトの成果を発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナ感染症の影響が続く中、行政と市民、NPO法人らの協力を得て、当初予定通り、年3回のパネル調査を実施することができた。また、オンラインではあるが調査結果の一部について国際学会の報告をなし、その成果を日本語論文(テーマ「ケイパビリティ指標に基づく不平等測定」)と英語論文(テーマ「ケイパビリティアプローチに基づく日本の公的扶助政策への提言」)にまとめ、学術雑誌に掲載することができた。その一方で、海外の国際学会に対面で出席すること、海外から研究者を招聘することは延期せざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまで行ってきたパネル調査(計10回)を本年度も継続する(計3回追加)。2023年度は最終年度にあたるため、ケイパビリティ・アプローチの主要国際学会であるHDCA(人間の発展とケイパビリティ)学会で主要論文を報告する。また、2024年2月に、ケイパビリティ・アプローチの理論・実証・実践に関する専門家を東京に招聘して、100名規模の国際シンポジウムをハイブリッドで開催する予定である。さらに、市と協同して、市民シンポジウムを開催し、研究成果を社会に広く還元する。これらの活動をもとに、「ケイパビリティ・アプローチの理論と応用」に関する専門書と一般書の刊行に向けて準備を進める。
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