研究課題/領域番号 |
19H00622
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分9:教育学およびその関連分野
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研究機関 | 滋慶医療科学大学 (2020-2021) 九州大学 (2019) |
研究代表者 |
吉本 圭一 滋慶医療科学大学, 医療管理学研究科, 教授 (30249924)
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研究分担者 |
深堀 聡子 九州大学, 教育改革推進本部, 教授 (40361638)
稲永 由紀 筑波大学, 大学研究センター, 講師 (80315027)
杉本 和弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (30397921)
江藤 智佐子 久留米大学, 文学部, 教授 (30390305)
亀野 淳 北海道大学, 高等教育推進機構, 准教授 (50333646)
木村 拓也 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (40452304)
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30251614)
古田 克利 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (20612914)
伊藤 一統 宇部フロンティア大学短期大学部, その他部局等, 教授 (20300452)
伊藤 友子 熊本学園大学, 外国語学部, 教授 (30231153)
小方 直幸 香川大学, 教育学部, 教授 (20314776)
新谷 康浩 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (10345465)
塚原 修一 関西国際大学, 客員教授(教育学部), 客員教授 (00155334)
坂野 慎二 玉川大学, 教育学部, 教授 (30235163)
福島 統 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (60173332)
藤墳 智一 宮崎大学, 教育・学生支援センター, 准教授 (30248637)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
45,370千円 (直接経費: 34,900千円、間接経費: 10,470千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2020年度: 21,970千円 (直接経費: 16,900千円、間接経費: 5,070千円)
2019年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | 第三段階教育 / 学修成果 / 職業統合的学習(WIL) / 学位・資格枠組み / 卒業生調査 / 質保証 / コンピテンシー / ステークホルダー / 教育の質保証 / IR / 学位資格枠組 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、大学・短大・専門学校等の第三段階教育を中心に、教育界と職業・産業界の対話による複眼的質保証システムの構築に向けて、インターンシップや資格実習など、学術と職業の場を往還する職業統合的学習(WIL)による、往還的コンピテンシー形成に注目する。 ISCED5・6の複数専門分野で、①教育の方法:職業統合的学習の実態や評価尺度を探究、②教育の目的:学修成果と職業的コンピテンシーとのチューニング、卒業生調査によるその実態把握、③教育の統制:内部・外部のステークホルダーの教育参画・ガバナンスを検討する。 ④学修成果に基づく質保証ツールとしての学位・資格枠組みと、その日本への適用可能性を探究する。
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研究実績の概要 |
学術と職業との往還を基本とするインターンシップを含む職業統合的学習に焦点をあてて、研究組織全体としてこれまでの先行研究をまとめ課題を確認するため、図書『キャリアを拓く学びと教育』を刊行した。また、Ⅰ班(学修成果とコンピテンシー)では、7つの専門領域において、教育の学修成果と職業のコンピテンシーについて学位・資格レベルごとに「知識」「技能」「態度」「応用」の4次元タキソノミーにもとづく記述語descriptorsのマトリクスを策定した。さらに、ビジネス領域においてその適切性を検討するため、第三段階教育レベルの教育機関の学修成果目標とその卒業生である社会人の卒業時の修得度を、実証的に把握、両者の対応・非対応に関する比較分析を行った。 第Ⅱ班(ステークホルダーとWIL)では、ステークホルダーの職業統合的学習(WIL)への関わりを課題とし、WILを学内で運営する鍵となる大学教員(内部ステークホルダー)を対象としてその経歴と業務、志向性を把握するため、「大学と地域研究会」(科研JP16K04599:研究代表者・稲永由紀(本科研第Ⅱ班長))と共同して、2019年1月~3月にweb調査を企画・実施した。その結果、国公私立の12大学の協力を得て有効回答194サンプルのデータを得た。 第Ⅲ班(制度・政策)では、ドイツ、オーストラリア第三段階教育における職業教育への制度的取り組みについての海外研究者を訪問した外国調査を実施するとともに、ドイツからUlrich Teichler教授を招聘し今後の研究計画について協議した。また、韓国における教育の学修成果と職業のコンピテンシーを繋ぐツールとして有効に活用されている全国職務能力基準(NCS)の普及と課題に焦点をあて、日本の教育界、労働界における関わり方と比較するための日韓セミナーを10月に開催し、研究組織全体としての研究課題の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学術と職業の往還的コンピテンシー形成の理論的、実証的課題の確認については、班ごとの検討などを経て吉本(2020)『キャリアを拓く学びと教育』を刊行することができた。しかし、研究組織全体としてその検討を行っていくことが課題となっている。 第Ⅰ班の学修成果の記述語の設定については、「知識」「技能」「態度」「応用」の4次元のタキソノミーに基づき、高卒レベルから修士レベルまでのマトリクスを試行的に策定した。ビジネス分野においては第三段階教育の教育機関と社会人の調査をもとにレベル設定の適切性を分析把握することができ、また他分野に読替や応用の可能な、一定の原理的な理解も進んだ。しかし、最終的にそれらを分野横断的な、分野による読替可能な共通語として確定するまでには至っておらず、次年度以後、教育機関の修了者の調査等を通して確認していく課題が残っている。 第Ⅱ班では、大学教員調査を企画・実施し一定サンプルの有効データを得た。ただし、ステークホルダー調査のうち学内ステークホルダーを対象として絞り込むための計画策定に時間を要し、調査実施が3月までに及び、年度末の新型コロナ感染症に係る事態急変のため調査結果の分析検討やそのための会合を設定できなかった。またサンプル数についても、調査実施を年度末でストップしており、データの分析可能性の範囲の検討、追加調査の必要性検討も課題となる。 第Ⅲ班については、ドイツ・オーストラリア調査、日韓セミナーなどを実施することができた。しかし、ドイツTeichler教授招聘による10月予定の国際セミナーは大型台風により延期となり、その代替セミナーを3月に企画し、また科研2019年度の総括として諸外国の制度・政策の比較考察を行う国際会合を企画していたが、いずれも今回の新型コロナ感染症にかかる事態により中止となった。以上、概ね順調な進展であるが、いくつか課題を残した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、Ⅰ班(学修成果とコンピテンシー)において、他班メンバーの協力を得ながら専門分野別に職業統合的学習の実態、特に評価の観点等について、大学関係者と外部ステークホルダーを対象として質的研究を進め、それをもとに、年度後半に学修成果の質保証のための全国の第三段階教育修了者の調査の実施を計画する。 また、Ⅱ班(ステークホルダーとWIL)については、2019年度実施の12国公私立大学教員調査の分析を進めるとともに、追加のステークホルダー調査として教員の補充調査あるいは外部ステークホルダー調査を計画する。 第Ⅲ班では、諸外国の第三段階教育において、どのように職業統合的学習(WIL)が教育プログラムに組み込まれ、その学修成果の中に位置づけられているのか、さらに国の教育・訓練の制度全体として、どのように学修成果に基づく教育の質保証・認定の仕組みとしての学位・資格枠組み(NQF)の導入が進められているのか調査を行い、各国の比較と位置づけを検討する。また、国内制度として、WILの充実と可能性を探るため、医療・介護系分野に焦点をあてた関係省庁横断的な研究課題を設定する。 ただし、今後の推進の可能性として、現下の新型コロナ感染症にかかる緊急事態の推移を見極めていく必要があり、とりわけ第Ⅰ班の大規模調査や第Ⅲ班の外国調査については、関係者の安全に係る十分な検討を行い、対応していく。
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