研究課題/領域番号 |
19H00637
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分11:代数学、幾何学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日比 孝之 大阪大学, 大学院情報科学研究科, 名誉教授 (80181113)
|
研究分担者 |
蔵野 和彦 明治大学, 理工学部, 専任教授 (90205188)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2021年度: 7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2020年度: 9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2019年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
|
キーワード | シチジー理論 / シンボリック冪 / Cox 環 / シンボリック Rees 環 / 離散ポリマトロイド / Hibi 環 |
研究開始時の研究の概要 |
可換環論の現代的潮流の主流である symbolic 冪と syzygy 理論を飛躍的に発展させる。その戦略を列挙する。 (a)symbolic 冪のホモロジー代数的性質と幾何学的性質を各冪について吟味することから冪全体の漸近挙動を探究する。その結果を symbolic Rees 環、正規射影代数多様体の Cox 環の有限生成性の研究に昇華させる。 (b)剰余環、特に、Hibi 環、辺イデアルの剰余環などの Betti テーブルを巡る独創的な理論を創造し、既存のテキストの続編 ``Syzygy Theory of Monomial and Binomial Ideals'' を執筆する準備をする。
|
研究実績の概要 |
(シンボリック冪)研究分担者の藏野和彦は、西田康二、高橋亮、稲川太郎等とスペースモノミアル曲線のシンボリック・リース環の有限生成性に関する研究を継続した。有限生成性は永田予想に顕著な影響がある。スペースモノミアル曲線のシンボリック・リース環の有限生成性に関する諸般の結果は、三頂点が格子点である三角形から定まるトーリック曲面の一点ブローアップの Cox 環の有限生成性に拡張できることがある。本研究では、ある三角形の場合の Cox 環がある正標数では有限生成ではないことを証明することに成功し、第 34 回可換環論セミナー(北見工業大学)、東京可換環論セミナーで報告した。この結果からは、永田予想の n が平方数の場合しかわからないが、永田予想へのアプローチとして、この方針は正しいとの感触を得ることができた。 (シチジー理論)研究代表者は、ドイツのエッセン大学に滞在し、Juergen Herzog のグループと有限単純グラフの頂点被覆イデアルの冪の componentwise linearity に関する国際共同研究を実施し、懸案の未解決予想「玄グラフの頂点被覆イデアルの冪は componentwise linear である」の肯定的解決に向けての挑戦を継続し、グレブナー基底といわゆる x-condition のテクニックを進化させ、部分的な結果を得ることに成功した。とりわけ、任意の有限単純グラフのそれぞれの頂点に、unmixed 玄グラフ;Cohen--Macaulay 二部グラフ;path graph;Cameron--Walker graph whose bipartite graph is complete を添加したグラフの頂点被覆イデアルの冪は componentwise linear であることを証明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シンボリック冪の研究も、シチジー理論の研究も、研究成果は十分なものである。国際共同研究も遂行され、当初の研究計画に沿った研究が展開されている。
|
今後の研究の推進方策 |
下記の実施計画に沿い、シンボリック冪とシチジー理論の研究を発展させる。 (シンボリック冪)自己交点数が0または負の曲線の存在性が、スペースモノミアル曲線のシンボリック・リース環の有限生成性に影響する。正標数で自己交点数が負の曲線があれば、Cutkosky の定理によりシンボリック・リース環は有限生成である。研究分担者の藏野和彦の従来の研究で、ある正標数で自己交点数が0の曲線が存在するという状況で、シンボリック・リース環が有限生成でない例を発掘した。今後、自己交点数が0の曲線が存在するという仮定の下、どのような標数でシンボリック・リース環が有限生成になるのかを探究する。 (シチジー理論)研究代表者は、2024 年 9 月 4 日から 9 月 15 日、イスタンブールに滞在し、Nursel Erey と有限単純グラフの squarefree 冪の regularity を巡る国際共同研究を実施する。更に、2024 年 10 月 6 日から10 月 12 日、American Institute of Mathematics に滞在し、SQuaRE プロジェクト(継続)の枠組みで、有限単純グラフの辺イデアルの冪の正則度の探究を Sara Faridi, Susan Morey, Tai H Ha, Nursel Erey, Selvi Kara と展開する。
|