研究課題/領域番号 |
19H00672
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分15:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鎌田 圭 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60639649)
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研究分担者 |
山本 誠一 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 上級研究員(研究院教授) (00290768)
島添 健次 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (70589340)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
44,070千円 (直接経費: 33,900千円、間接経費: 10,170千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2021年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
2020年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2019年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | シンチレータ / 放射線計測 / 放射線検出器 / 共晶体 / 光導波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、超高解像度実現のコア技術となる、自己組織化共晶体シンチレータを用い、Silicon on Insulator(SOI)型半導体光検出器と組み合わせ、数~数十μmの解像度と、エネルギー分解を可能とする検出器を構成する。当該検出器によりガンマ線の運動学変数の高精度な測定や応答パターン解析による粒子識別が可能となり、モノリシック結晶を用いた従来の放射線検出器では不可能であった、素粒子生成プロセスの解明や未知物質探索に向けた新規実験手法開発に繋がる。
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研究実績の概要 |
昨年度までに有望と確認されたCsI/CsCl/NaCl 共晶体やBaCl2/NaCl/KClについて、大型化の検討を進めた。特に有望なBaCl2/NaCl/KClについて、発光中心となるTbやEuの濃度の最適化を進め、作製した共晶体インゴットからシンチレータプレートを試作した。、試作したシンチレータと光検出器を組合せたイメージング装置の試作を進め、spring-8において、平行度の 高いX線などのビームラインを活用した、イメージング試験を実施した。また、、高分解能放射線イメージング検出器を開発し、放射線の一種であるアルファ線の飛跡を短時間間隔のリアルタイム画像として可視化することに成功した。アルファ線は、物質中では数十マイクロメートル程度と極めて短い距離しか飛ばないことから、アルファ線の物質中の飛跡をリアルタイムで観察することは、これまで不可能と考えられていたが、今回の装置を利用して、シンチレータへのアルファ線の入射角度の違いによる形状の違いを利用して、アルファ線飛跡の三次元分布評価やアルファ線のエネルギーを評価できる可能性がある。 一方で、自己組織化方の共晶体を利用した光導波型シンチレータでは、規則構造の線形性と規則性を確保した上で、大口径の高品質領域を得ることが困難であることが分かってきた。そこで、さらなる検討を進めた結果、バンドル光ファイバーと同様に、コアを低融点・高屈折率のハロゲン化物シンチレータとし、クラッドをガラスとすることで、光導波型シンチレータを製造する技術の開発に成功した。これは、光ファイバーと同様の製造装置を用い、作製条件を最適化、改良することで、数μ~数十μm径程度のコア径を有する光導波型シンチレータを製造するものである。コアのシンチレータ材の選択性が広く、産業技術を利用した量産や大口径化が容易である特徴がある。本物質および製造方法は国際特許出願を行った(WO2023/008101)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
・光導波型共晶シンチレータの大型化とプレート試作 ・光検出器と組み合わせた各種イメージング装置の試作 ・高強度X線を用いたイメージング試験や粒子線の飛跡検出試験の実施 の研究計画が順調に実施された。さらに、研究の肝となる、光導波シンチレータに関して、光ファイバー製造技術を活用した、生産性の高い新規光導波シンチレータの試作に成功した。本技術はイメージング装置に組み込んだ場合、さらなる波及効果が見込める革新的な材料であり、計画以上に研究が進捗したと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、共晶体に加えて光ファイバー型の新規光導波シンチレータを用いたシンチレータプレートの試作を進める。シンチレータプレートと光検出器を組み合わせたイメージング装置への搭載を進め、引き続き高分解能なX、γ、粒子線のイメージング試験を進める。飛跡を利用した、入射方向同定、エネルギー同定技術の研究も進める。
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