研究課題/領域番号 |
19H00704
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分16:天文学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
山口 弘悦 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (00513467)
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研究分担者 |
辻本 匡弘 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (10528178)
山崎 典子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20254146)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,370千円 (直接経費: 34,900千円、間接経費: 10,470千円)
2021年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2020年度: 21,060千円 (直接経費: 16,200千円、間接経費: 4,860千円)
2019年度: 14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
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キーワード | X線天文学 / 超新星 / 原子物理学 / 多価イオン / X線天文学 / プラズマ物理学 / 実験室宇宙物理学 / Ia型超新星 / 原子過程 |
研究開始時の研究の概要 |
Ia型超新星の残骸中に含まれる鉄族元素の量は、親星の最終質量や中心密度に強い制限を与える。しかし現状では、X線スペクトルを解析する際に参照される原子データの不定性が大きく、元素量測定に顕著な系統誤差が残る。本研究では、ドイツのマックスプランク核物理学研究所と共同で小型の電子ビームイオントラップ(EBIT)を開発し、超新星残骸の高温非平衡プラズマに特有な内殻過程を実験室で再現する。これによって鉄族元素多価イオンの蛍光輝線エネルギーや蛍光収率を測定し、元素量決定精度を飛躍的に向上させる。なお本研究計画は、将来XRISMが拓く精密X線分光時代のサイエンスを最大化する上でも本質的な役割を果たす。
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研究成果の概要 |
Ia型超新星残骸3C 397の観測から、極めて高いTi/FeおよびCr/Fe比が得られ、この天体の親星である白色矮星の爆発直前の中心密度が理論的に標準とされる値と比べて約3倍も高かったことを明らかにした。Ia型超新星やその残骸の観測を通して親星の中心密度にまで制限を与えた例は、本研究が世界初である。さらに、観測結果の信頼性向上を目的に、鉄族元素の蛍光輝線の原子データを取得するための実験装置「電子ビームイオントラップ(EBIT)」 を製作し、大型放射光施設SPring-8にて多価イオンの分光実験を実施した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
Ia型超新星は、遠方銀河までの距離を測る「ものさし(標準光源)」として利用され、宇宙の加速膨張の発見(2011年のノーベル物理学賞)をもたらしている。本研究は、超新星残骸に含まれる鉄族元素の質量比に着目する新手法によって、爆発前の白色矮星の中心密度の決定に初めて成功した。その結果は、本研究で観測した超新星残骸の親星が、標準的ではないIa型超新星爆発を起こしたことを強く示唆する。つまりIa型超新星にも多様性があり、標準光源として利用するためには、その選別が必要であることを示す。今後の研究によって多様性に関する理解がより進むことで、宇宙膨張史の詳細が紐解かれると期待される。
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