研究課題/領域番号 |
19H00713
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
市原 美恵 東京大学, 地震研究所, 准教授 (00376625)
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研究分担者 |
大槻 道夫 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30456751)
亀田 正治 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70262243)
桑野 修 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(数理科学・先端技術研究開発センター), 研究員 (30511969)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
46,020千円 (直接経費: 35,400千円、間接経費: 10,620千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2019年度: 21,450千円 (直接経費: 16,500千円、間接経費: 4,950千円)
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キーワード | 粘弾性流体 / マグマ / 破壊 / レオロジー / 火山 / 降伏応力 / 懸濁流 |
研究開始時の研究の概要 |
火山噴火における,マグマ破砕のように,物質の流動から固体的な破壊への遷移は,固体地球現象のモデリングにおいて重要かつ未解明の現象である.本研究は,物質の流動や弾性変形を観察しやすい軟らかい材料(ソフトマター)を用いた実験により,この遷移現象を解明する.そして,それを再現する数値計算手法を開発することを通し,地球科学に応用するための基盤を構築する.
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研究実績の概要 |
爆発的な火山噴火では、液体・気泡・結晶からなるマグマなどの複雑流体が急速な変形を受けて破砕し、火山灰などが形成される。この現象を、流体の流動と破壊過程と位置づけ、その物理を解明することを目的としている。マグマや火山泥を模擬する粘弾性流体および降伏応力を持つジェル状流体の中で気泡が急膨張する際の流動と破壊について論文にまとめ、発表した。また、これらの流体表面で気泡が破裂する際の音波について実験を進めた。粘弾性流体の円柱移動に伴う流動と破壊を調べる実験においては、前年度までに明らかになった「遅延破壊」という流動と破壊の遷移状態について詳細に調べた。円柱に掛かる力の計測結果から、遅延破壊の前には応力場がほぼ一定の状態で変形が進む、すなわち、粘性的な変形が進むこと、破壊開始時に応力が急激に低下し、脆性的な振る舞いをすることが分かった.また、流体の表面が大きく変形することで円柱の背後に小さい気泡が形成され、これが核となってき裂が開始することを突き止めた。数値計算グループは、マクスウェル粘弾性流体中の気泡膨張の実験を再現する計算を試みた。その結果、実験で与えられている条件でき裂を開始するには、膨張する気泡の壁近くに別の小気泡の存在が必要であることを指摘した。これは、上記の円柱実験の結果や過去の研究結果とも整合的である。流体の流動から破壊へ至る基本プロセスとして、微小気泡の存在が本質的な役割を果たしていることが普遍的に成り立つことが明らかになった。本プロジェクトの次のステップとして、固体粒子を含む懸濁流へと発展させるため、ソフトマター物理学分野での懸濁流レオロジーの理解と、火山学分野で進められている結晶を含むマグマのレオロジーの考え方の関係を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の中心となる実験に関する論文が出版され、その他の研究についても、論文投稿や学会発表として成果をまとめた。新型コロナウィルス感染症による水際対策のため延期となっていた火山学に関する国際会議が2023年1月から2月に実施され、本研究の成果を発表し、各国の専門家と議論を行うことができた。しかし、査読の結果、追加実験や理論・数値計算コードの改良が必要となり、追加実験のために専門家の参画が必須となったために2022年度中に完成できていない。
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今後の研究の推進方策 |
投稿準備中の論文を完成させるためには、レオロジーの再計測と、可視化状態でのせん断変形・破壊実験が必要となった。2023年度に新たに専門家を分担者に迎え、必要な実験を実施し、修正中の論文を完成させる。理論的・数値的研究についての論文も、査読者の意見を踏まえてモデルの改良を行い、完成させる。本研究を固体粒子懸濁流に発展させ、火山噴火ダイナミクスの理解につなげる。
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