研究課題/領域番号 |
19H00722
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大内 智博 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 准教授 (60570504)
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研究分担者 |
西原 遊 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 教授 (10397036)
雷 興林 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究グループ長 (70358357)
川方 裕則 立命館大学, 理工学部, 教授 (80346056)
河野 義生 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 准教授 (20452683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
44,330千円 (直接経費: 34,100千円、間接経費: 10,230千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2019年度: 25,740千円 (直接経費: 19,800千円、間接経費: 5,940千円)
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キーワード | 稍深発地震 / スロースリップ現象 / サイレント地震 / 断層 / 水 / 含水鉱物 / 岩石-水反応 / 海洋地殻 / 角閃岩 / エクロジャイト / 微小破壊音 / 剪断集中 / スロースリップ / アコースティックエミッション / 超臨界水 / スラブ内地震 / カイザー効果 / マイクロクラック / 広帯域AEセンサ / 放射光その場観察 / 2次元半導体検出器 / AE / 放射光 / 高圧 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本をはじめとした沈み込み帯におけるスラブ上面付近(深さ30 km以深)にて発生するスラブ内地震やスロースリップ現象の発生頻度が、スラブ内に蓄積されている超臨界水の量の違いに対応しているといった独自の仮説を実験的に検証する。スラブの温度圧力条件下において種々の量の超臨界水と共存するスラブ構成岩の一軸圧縮試験を行う。岩石試料の破壊の際に発生する“ミニ人工”地震を観測することによって、地震及びスロースリップの発生頻度に対する超臨界水の量の効果を評価する。超臨界水がスラブ内地震及びスロースリップを誘発するのかあるいは抑制するのかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
稍深発地震の多発するスラブ内浅部の温度圧力条件下(400-1000℃、1-3 万気圧)における海洋マントル岩と海洋地殻岩の変形・破壊実験を行った。海洋マントル岩では、系に水性流体が存在する非排水条件下での場合にはアコースティックエミッション(AE)の発生を伴わずに断層形成が進行した。一方、系より水性流体が排水される場合では、AE発生を伴う断層形成が進行した。海洋地殻岩の場合では、同様の水性流体のAE抑制効果は500℃以下においてのみ確認された。以上の結果は、比較的低温のスラブ内及び表面付近での水性流体の蓄積によって稍深発地震は抑制され、代わりにスロースリップ現象が卓越することを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本列島の地下へと沈み込むプレートの内部(深さ30-100km)にて起きる稍深発地震が、水によって起きやすくなるのか、あるいは抑制されるのかを実験的に検証した。プレートの岩石内に断層が形成され、断層すべりが起きる際に水が存在すると、岩石と水の間の化学反応によって“軟らかい”含水鉱物が形成されるため、地震発生を伴わない断層すべり(サイレント地震やスロースリップ現象に相当)が起きやすくなることが確認された。一方、水が存在しない環境下では、地震を伴う断層すべりが支配的に起きた。以上の結果は、プレート内部の地震発生場に水性流体が蓄積されることによって、地震発生が抑制されることを意味している。
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