研究課題/領域番号 |
19H00795
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
|
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
孔 相権 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80514231)
|
研究分担者 |
宮崎 崇文 愛知工業大学, 工学部, 講師 (20802581)
三谷 智子 明治国際医療大学, 鍼灸学部, 客員研究員 (30378757)
村上 由希 関西医科大学, 医学部, 助教 (50580106)
三浦 研 京都大学, 工学研究科, 教授 (70311743)
今村 行雄 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90447954)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
31,200千円 (直接経費: 24,000千円、間接経費: 7,200千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2019年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
|
キーワード | 脳活動 / 表情 / 高齢者 / 健常者 / 空間評価 / 脳血流 / fMRI / 視覚・聴覚実験 / 要介護高齢者 / 嗅覚実験 / 食事提供プロセス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、要介護高齢者を被験者に設定し、外環境(本研究では、外環境を本人を除く本人を取り巻く空間領域の様々な状態(例えば、物、人、音、においなど)という意味で定義する)の変化を視覚・嗅覚・聴覚刺激の変化と捉え、1.外環境の変化を知覚していることを脳活動と表情より明らかにし、2.脳活動が賦活化している部位と表情の変化より要介護高齢者の感情を評価し、3.外環境-脳活動-表情という三者の関係より重度要介護高齢者の空間評価手法を検討し、4.充実させた施設環境を利用できない要介護高齢者が増加しても居住環境に配慮した高齢者施設計画を行うことの重要性を指摘することが研究機関全体の研究概要となる。
|
研究実績の概要 |
本研究は、当初の研究計画では特別養護老人ホームを調査対象に要介護高齢者の脳活動と表情測定を行うことにより、新たな空間評価手法を検討することを目的としていた。しかし、令和4年度においても新型コロナウィルスの影響のため特別養護老人ホームにおいて要介護高齢者を対象とした実験を実施することは不可能であった。 上記理由より、令和4年度については健常高齢者を対象に代替実験を実施した。具体的な実験内容は、1.視覚・聴覚コントロール下における脳活動と表情の測定結果を分析方法を深化させることにより再分析、2.嗅覚コントロール下における脳活動と表情を健常者高齢者を対象に測定することの2点である。1の分析手法の深化については、令和3年度に実施したfMRI実験(被験者:3名(健常者20代))を令和4年度では被験者:14名(健常者20代:7名、健常者60-70代:7名)に増やし、脳活動の測定域を拡大することにより、視覚・聴覚コントロール下における脳活動の再分析を実施した。尚、fMRIを所有する株式会社ATRPromotionsに実験委託し11名(令和4年度実績)の被験者の詳細な脳活動データを入手している。2については、令和4年9月に奈良県に所在する有料老人ホームにおいて健常高齢者18名を対象に臭い噴霧器を用い3種の臭いを発生させた際の表情と脳活動を測定した。 詳細な分析は現在実施中であるが、健常大学生よりも健常高齢者の方が嗅覚刺激の変化に対して反応が鈍いこと、視覚と聴覚でずれがある場合20代と60-70代では脳の近く領域に差異があることなどが確認できた。 尚、令和3年度繰越予算と令和4年度予算を合算し令和4年度の研究活動費としたが、上記2.の研究が主に繰越分、1.の研究が主に今年度予算から研究費を捻出している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
繰越分の実績報告書でも記載したが、コロナ流行前の要介護高齢者を対象とした当初計画から判断すると研究進捗は非常に遅れている。しかし、健常20代、健常60-70代を対象としたfMRI実験、健常高齢者を対象とした嗅覚実験の研究計画変更後の代替実験については順調に研究が進捗していると判断している。 研究計画変更後の代替実験が順調に進捗している根拠としては、fMRI実験については被験者数を3名から14名までに増加させることに成功していること、また嗅覚実験では健常大学生に加え健常高齢者18名を対象に実験を実施できたため、今後、若年健常者と高齢健常者の比較が可能となるデータが得られたことが挙げられる。 社会情勢により当初研究計画から代替実験へと研究計画は変更せざる得なかったが、代替実験は順調に進んでいることから、昨年度の(4)遅れているから大きく巻き返すことができたと判断し、また当初計画通りは進んでいないことも加味し(3)やや遅れていると研究進捗状況を判断するのが妥当であると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
こちらについても繰越分の実績報告書に記載した内容と重複するが、令和5年度5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2類から5類に引き下げられる。そのため当初計画の通り特別養護老人ホームに入居する要介護高齢者を対象に視覚・嗅覚・聴覚実験を実施できる可能性が出てきたが令和5年度は研究の最終年度でもある。令和2、3、4年度の3年間は特別養護老人ホームでの実験は新型コロナウイルス感染症の影響により実施できていない一方で、代替実験は順調に推移している。 当初研究計画に戻すか、3年間継続してきた代替実験を最終年も続けるかどちらかを選択する必要がある。研究班内で討議した結果、当初研究計画に戻す方向に舵を切るのは、既に代替実験に研究予算の大半を投入していること、残り1年間で令和5年度も含めた4年分の当初研究計画の実験を実施することは不可能に近いことなどを理由に、研究計画変更後の代替研究を令和5年度も継続していくとこが当該研究の最終年度の推進方向となる。 具体的には、健常大学生と健常高齢者に実施した嗅覚実験の結果を分析し嗅覚の年齢特性についての知見を得ること、fMRIによる視覚・聴覚をコントロールした実験の被験者(令和4年度までの延べ被験者14名)を6名程度追加し実験データの精度を向上させることの2点が令和5年度の研究の推進方向となる。
|