研究課題/領域番号 |
19H00798
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
長谷見 雄二 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (40298138)
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研究分担者 |
鍵屋 浩司 東北工業大学, 建築学部, 教授 (90298191)
伯耆原 智世 早稲田大学, 理工学術院, 専任講師 (70908061)
板垣 直行 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (00271891)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
31,070千円 (直接経費: 23,900千円、間接経費: 7,170千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2019年度: 20,280千円 (直接経費: 15,600千円、間接経費: 4,680千円)
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キーワード | 大規模木造 / 火災 / 力学的性能 / 熱・水分移動 / 含水率 / 入射熱 |
研究開始時の研究の概要 |
木造部材の火災時の挙動は、木材の物性や小規模試験からの予測より悪い方に現れる傾向が強い。その重要な要因として木材の水分の影響を想定し、その過程の検証とその影響軽減の原理の導出を行う。 木材の強度は含水率が高いほど低下するが、その傾向は高温ほど顕著で、沸点付近の飽水状態では、常温気乾時の25%前後と、乾燥した木材の炭化寸前と同程度となる。火災加熱時の木造部材内で蒸発した水分は低温側に移動して沸点付近で再凝縮するため、部材内には沸点付近で飽水状態の層が形成されると予想される。本研究では火災加熱時の部材内部の温度・含水率の動的測定により本仮設及び数値計算による再現性を検証し、力学的影響の評価を試みる。
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研究成果の概要 |
火災加熱される木造部材内部の含水率測定法、熱・水分移動モデル、木材中の水分移動が部材の力学的挙動に及ぼす影響について、以下の成果を得た。(1)木造部材の含水率測定法については、常温・気乾状態から標準耐火加熱した場合の含水率変化を追跡できる程度に改良できた。(2)熱・水分移動に係わる木材の高温での熱伝導率が木材繊維方向に著しく大きい値となること等を明らかにした。(3)木造梁の火災時の変形とスパンの関係が鋼材等と異なる傾向を示す事、火災加熱時の炭化速度と強度の変化が矛盾する傾向を示す事など、従来、原因不明とされた多くの特徴が水分移動に起因することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
実用化が期待されている火災加熱下の木材の含水率測定法については、実際的な火災加熱条件下で常温から沸点まで、更に自然冷却の過程までの動的測定が可能となった。この成果は今後の木質部材の耐火性能予測に関する研究の推進に多大な影響を及ぼすと考える。火災加熱下の木造部材における熱水分移動モデルについて、高温での熱伝導率の異方性が顕著なこと、熱分解時に発熱を伴うことなど、新しい知見を得た。これらを通じ、従来、原因不明だった火災加熱下での木造部材の特異な挙動のいくつかについて原因を明らかにした。今後、木構造の防耐火性能の合理的開発・評価の確立に寄与すると考える。
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