研究課題/領域番号 |
19H00834
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
木村 正雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (00373746)
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研究分担者 |
丹羽 尉博 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教 (00743709)
大林 一平 岡山大学, AI・数理データサイエンスセンター, 教授 (30583455)
武市 泰男 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (40636461)
渡邊 稔樹 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定助教 (90851428)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2020年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2019年度: 18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)
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キーワード | 複合材料 / X線顕微鏡 / 放射光 / パーシステントホモロジー / 機械学習 / X-CT / 顕微分光 / CFRP / き裂 |
研究開始時の研究の概要 |
CFRP(炭素繊維強化樹脂)等の航空機用複合材料の多くは本質的に欠陥や亀裂が内在する。従来の材料力学では「既在の亀裂が成長して材料破壊につながるかどう」が主に扱われ、欠陥の発生そのものをナノスケールで研究した例は少ない。 そこで、X線顕微鏡による多次元 (=空間+エネルギー+時間) 観察技術を確立し、応力印加条件下で亀裂がいつ どこで発生するのかをナノスケールで解明する。計測と情報科学の融合により顕微ビッグデータに内在する情報をフルに引き出し、過去知見や経験に依存する従来法とは本質的に異なる多次元(4D/5D)顕微鏡鏡による新たな学術的アプローチを提供し、航空機用複合材料の高機能化に資する。
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研究実績の概要 |
(1) 昨年度までに高度化に成功したX線顕微鏡による4次元/5次元観察により、高空間分解能(~50nm)で、応力負荷しながら(in situ)X-CTによる観察を行いCFRP (炭素繊維強化プラスチック)における、Mode II(剪断)応力下での挙動解明に取り組んだ。その結果、Mode I (引っ張り)応力での挙動と同様に(A)樹脂内でのき裂発生と、(B)炭素繊維/樹脂界面での剥離、の異なるモードでき裂が発生するが、多くは、繊維/樹脂界面で発生した亀裂(剥離)が繊維界面に沿って進展し、その一部が樹脂内に伝搬していくことが明らかになった。 (2)フェノキシ樹脂とナイロン12を混合したポリマーアロイについて、種類の異なる相溶化剤を添加し、走査型X線顕微鏡(STXM)を用いて炭素の化学状態をナノスケールでマッピングすることにより、その微細構造の変化を明らかにした。相溶化剤の種類により、フェノキシ樹脂もしくはナイロン12との相互作用が異なり、最終的な海島構造が大きく異なることが分かった。 (3)顕微鏡ビッグデータの応用数学による解析として不均一性のかたちをマルチスケールかつ定量的に特徴付ける手法であるパーシステントホモロジー(PH)の高度化に取り組んだ。従来二次元データについて解析を行ってきたが、アルゴリズムの改良と計算プログラムの高度化を行い、三次元データについても解析が可能になった。高度化した手法を用いて、鉄系酸化物の還元反応における三次元顕微鏡データの解析を行い、トリガーサイト(trigger site)を明らかにすることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CFRP (炭素繊維強化プラスチック)におけるき裂の発生、進展の挙動を、X線顕微鏡による4次元観察(空間3D+時間)する技術を確立した。それにより、様々な応力印加条件下での亀裂進展をナノスケールで解明することに成功し、当初の想定以上の進捗である。また、そのき裂進展に重要となることが判明した「炭素繊維/樹脂界面」の理解のために2種類の樹脂からなるポリマーアロイの位相界面での炭素の化学状態をSTXM顕微鏡で観察を行うことに成功した。 その一方で、新型コロナウイルス感染症による影響により、代替不能な研究協力者が来所しての実験が困難となった。そのため、4月以降に、研究協力者と破壊の観察実験を延長して実施する必要が生じ、そのための費用を2022FYに繰り越した。 これらから、全体として概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 航空機用複合材料の代表であるCFRPについて、確立したX線顕微鏡による4次元/5次元観察技術を用いて、更に様々な応力印加条件での観察を行うとともに、その結果をマイクロメカニックスによる力学的な定量評価と合わせて、破壊の起点となるトリガーサイトの同定につなげる。(2) X線顕微鏡を用いて、炭素繊維/樹脂や異相樹脂界面での炭素の化学状態のマッピングを行い、ナノ~ミクロスケールでの化学状態の不均一性がマクロ特性に及ぼす因子について調べる。 (3)顕微鏡ビッグデータの応用数学による解析:不均一性のかたちをマルチスケールかつ定量的に特徴付ける手法であるパーシステントホモロジー(PH)による解 析について、二次元から三次元に拡張した解析プログラムを用いて三次元顕微鏡データの解析を進める。特に、炭素繊維の配列や、化学状態の不均一のかたちを記述する特徴量の抽出を進める。
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