研究課題/領域番号 |
19H00853
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中村 芳明 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60345105)
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研究分担者 |
黒澤 昌志 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (40715439)
森 伸也 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70239614)
藤田 武志 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (90363382)
澤野 憲太郎 東京都市大学, 理工学部, 教授 (90409376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2021年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2020年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2019年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 熱電材料 / シリコン / ナノ構造 / フォノン / 分子線エピタキシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、代表者が確立してきたナノ技術を駆使して、Si・SiGe系二次元シートを含有する新規Ca-SiGe系人工層状超格子を創造する。二次元的超高移動度ディラック電子状態と、空間局在した界面フォノンモードとを同時に実現し、長年の課題であった3熱電物性の独立制御(電気伝導率増大、ゼーベック係数増大、熱伝導率低下)を狙う。上記の原子レベルのナノ構造材料設計による二次元電子伝導とフォノン輸送の制御戦略に基づき、理論予測・計算科学予測と実験的検証を行うことで熱電性能向上の新方法論を確立し、今まで利用できなかった低温廃熱の回収を目的とした高性能の環境調和型Si系熱電薄膜材料とそのデバイスの開発を行う。
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研究実績の概要 |
高性能熱電材料として、Si系の二次元シート含有人工超格子に注目して、薄膜形成および熱電性能向上の研究を行っている。まず、令和2年度に、Si系二次元層状物質であるCaSi2の創製を行った。しかし、令和2年度に見出した成長方法で形成したCaSi2薄膜には、劣化現象が見出された。そこで、本年度は、劣化現象を防ぐ処理を開発し、これを施した試料の熱電特性を評価する計画で研究を行った。 本年度、薄膜の表面に様々な保護層を形成し、その結果、アモルファスSiキャップをすることで劣化現象を大幅に抑制することができることを見出した。 次に、この劣化防止処理を施すことで、可能となったCaSi2薄膜の熱電特性評価を行った。まず、通常のCaSi2薄膜と原子層制御したCaSi2薄膜の移動度と熱電特性(電気伝導率とゼーベック係数)の測定を行った。その結果、原子層制御したCaSi2において、予想以上に大きなゼーベック係数が発現することを見出した。 そこで、どのような条件でより大きな出力因子を示す薄膜が形成可能であるのかを探るため、組成比制御、形状制御しながら薄膜成長を行った。その結果、原子の相互拡散による固相成長を促すことが重要な条件であることを見出した。この原因究明により、高いゼーベック係数の薄膜を再現性良く作製できることが可能となった。 従来予想を超える高いゼーベック係数の発現は学術的に大きな意味を持つものであり、それが自在に形成できるようになったのは大きな研究の進展といえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初は年度内に、開発した薄膜の劣化処理を施したサンプルの熱電特性を評価する予定であった。予想外に大きなゼーベック係数が発現したため、その形成条件を探索するために繰り越しを行い、次年度の途中まで研究を行った。その点期間は遅れたものの、R3年度分の研究はすべて完了し、また予想外の高ぜーベック係数が得られた点で、当初の計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度開発したCaSi2にGeなどの、他元素を導入して置換することを行う。これにより、さらなるゼーベック係数増大と、ゼーベック系係数だけでなく、電気伝導率増大も可能にする薄膜の形成を探索する。
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