研究課題/領域番号 |
19H00861
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
関口 康爾 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (00525579)
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研究分担者 |
立崎 武弘 東海大学, 情報理工学部, 講師 (20632590)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2019年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | マグノン / スピン波 / 量子凝縮 / 電圧効果 / 電圧降下 / 量子ビット / 論理演算 / マグノニクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の根本の狙いは、磁性体に普遍的に存在するマグノンを、信号を運ぶ非電荷のキ ャリアとして活用し、新しい省エネルギー・高効率な利用展開を創発することにある。磁 性体としてその材料の枠を超えて、酸化物磁性体、反強磁性体をもキャリア媒体として活 用するためのサイエンスの理解と応用展開を目指す。本申請では、電圧制御と温度変調と いうキーワードに的を絞り[1]ナノ構造で顕在化する非電荷マグノンに対する電界効果とマグノン輸送制御の基盤を形成すること、[2]試料における非電荷マグノン強度を広い温度領域で観測できる世界初のブリルアン散乱分光装置を開発すること、に挑戦する。
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研究実績の概要 |
マグノニック機能の有力候補である量子凝縮効果に関する研究を実施した。量子凝縮は室温・大気中で生じる巨視的量子現象であり、新しい量子コンピュータ・量子ビットに応用可能と期待されている。今年度は、マグノン励起法と凝縮体媒体となる材料を見直し、高品質な鉄単結晶における量子凝縮効果および凝縮体の寿命を詳細に研究した。ブリルアン散乱分光法の時間分解能によって鉄単結晶におけるマグノン密度の時間変化を詳細に検出することに成功した。 その結果、量子凝縮体が報告されていたガーネットに比べて、鉄単結晶薄膜では100分の1以下の試料膜厚を達成でき量子凝縮体を形成する入力マイクロ波パワーの低減が確認できた。また磁気減衰効果がガーネットに比べて100倍強い材質でも、数ナノ秒の寿命を維持していることが初めて明らかとなった。ガーネットに比べて飽和磁化が10倍大きいために、実験測定時の量子凝縮体の熱安定性が優れていることもわかった。 一方、大規模な光学測定系を必要とする凝縮体研究に関して、研究速度を加速する目的から電気的に検出する新しい取り組みを行い、マイクロ加工ストリップライン共振器とネットワークアナライザ・スペクトルアナライザの組み合わせにより、凝縮パラメトリックポンピングの検出に取り組んだ。ポンピング周波数に対するパラメトリック励起周波数の信号を検出することができ、電気計測の基盤技術を形成することができた。 また、ガーネットスパッタ膜の膜質向上に取り組み、試料の元素分析によって不純物混入による非結晶化と磁気損失の劣化などが確認できた。不純物混入をなくしたスパッタ成膜により結晶化した試料を作製することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マグノニック機能を生み出す材料としては、特別な基板を必要とする特殊材料よりも、ありふれた元素で実現する方が重要である。従来、量子凝縮体を報告してきた材料はイットリウム鉄ガーネットと呼ばれる材料であり、超低磁気損失の長所があるが特殊ガドリニウム基板を必要とする問題点があった。本研究では、スピントロニクス技術と親和性が高い鉄単結晶を用いて量子凝縮体を研究している。磁気損失がイットリウム鉄ガーネットに比べて10倍以上大きな材料であるため、量子凝縮体の寿命が短いことがわかったが、熱安定性の良いことがわかり今後の展開に期待がもてる材料である。鉄単結晶における量子ビット研究は室温・大気中で動作する応用展開の可能性がある。 当年度はさらに、薄膜作製技術によってイットリウム鉄ガーネット構造を作製し、ガーネット薄膜の磁気損失の向上を図った。詳細な元素分析によりこれまでの薄膜プロセスにおける問題点を抽出することができ、結晶化の質が上がった試料を作製することに成功した。以上の理由により、マグノニック機能創発のための凝縮効果・電圧効果の開拓は、順調に進んでいると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度で開拓した鉄単結晶におけるマグノン量子凝縮効果についての基礎研究を着実に進めていく。鉄単結晶のマグノン量子凝縮に関しては、微細加工を施した試料による形状閉じ込め効果を活用することでマグノン量子凝縮体の寿命が増大することが考えられている。微細加工試料における閉じ込め幅をパラメータとして、マイクロマグネティクスシミュレーションで寿命幅を予測する。実験的にはパラメトリック励起およびブリルアン散乱分光装置によってマグノン密度の時間変化を詳細に調べることで、量子ビットを形成できうる素子構造を考案・開拓していく。 本年度、新たに展開したマグノン量子凝縮の電気的検出法をさらに推し進めることで、単一素子で短時間での計測を目指す。電気計測は今後量子ビットを電気制御する上で最も重要な技術である。パラメトリック励起の検出から凝縮体の検出にまで技術を向上させることで、室温・大気中で利用可能な量子ビット開発を目指し、マグノニック機能創発を探る。
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