研究課題/領域番号 |
19H00875
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
宮崎 英樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, グループリーダー (10262114)
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研究分担者 |
間野 高明 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (60391215)
井上 純一 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主幹研究員 (90323427)
神馬 洋司 日本大学, 工学部, 准教授 (00246844)
野田 武司 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 上席研究員 (90251462)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2021年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2020年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
2019年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
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キーワード | メタマテリアル / 光アンテナ / トンネル発光 / 赤外光源 |
研究開始時の研究の概要 |
波長3~10μmの中赤外域は、可視域では姿を消した熱放射光源(電球)の独壇場で、100年間、本質的に進歩していません。開発の盛んな量子カスケードレーザは今なお高価で、応用は限られます。問題の本質は、可視~近赤外域の主力光源である発光ダイオード(LED)の効率が、中赤外域では原理的に極めて低いことにあります。中赤外域では、可視光のLEDに相当する、実用的な新原理単色光源の登場が待望されているのです。本研究では、ナノサイズのギャップを量子力学的に通り抜けるトンネル電流により生じる微弱な発光を、独自の光アンテナ構造で増強する「共鳴量子トンネル光源」を開発し、熱放射光源を代替できるかを問います。
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研究成果の概要 |
波長3~10μmの中赤外域はLEDが原理的に低効率なため、今なお熱放射光源の独壇場である。本研究では熱放射を超える発光強度を実現しうる加熱不要な新原理光源として、共鳴量子アンテナ光源を提案した。これは量子井戸の共鳴準位により巨大電流を透過する共鳴トンネル構造を金属/誘電体/金属型光アンテナに挟み込んだ構造である。熱放射との完全分離のために試料を3Kまで冷却し、帯域3~5μmに注目して様々な共鳴トンネル構造について調べた結果、共鳴電流に対応した発光ピークに加えて、非共鳴電流に対応した発光も観測された。共鳴発光は光学フォノン散乱の低減効果により、共鳴トンネル電子の飛行距離が短いほど増大した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
共鳴トンネル構造は1980年代に盛んに研究されたが、当時はこれを光アンテナと結び付け、発光素子として利用する構想はなかった。その後、プラズモン共鳴を人工的に顕著に発現させる光アンテナの開発が進み、本研究にて、共鳴トンネル構造の弾道電子による発光を初めて調べることができた。発光には共鳴電流だけでなく非共鳴電流も寄与すること、弾道電子の飛行距離が短いほど共鳴電流発光が顕著であること、場合によっては非共鳴電流による発光だけが観測されることなど、未解明の現象を含めて多彩な現象を観測することができた。これらの結果は、電子波も光波も制御するメタ表面デバイスの可能性を示唆している。
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