研究課題/領域番号 |
19H00880
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
工藤 久明 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00334318)
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研究分担者 |
山下 真一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20511489)
室屋 裕佐 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (40334320)
越水 正典 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (40374962)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2021年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2020年度: 16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2019年度: 14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
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キーワード | シンチレータ / 放射線 / パルスラジオリシス / 時間分解測定 / 過渡現象 / 消光 |
研究開始時の研究の概要 |
パルスラジオリシスという放射線化学の手法を用い,発光型の放射線センサーであるシンチレータの動作機構を解明する.その性能を決定する過程である,ホストから発光サイトへのエネルギー・電荷移動過程について,過渡吸収分光により解明する.この過程が性能を決定するにも拘らず,現状では全くのブラックボックスである.このエネルギー移動・電荷捕獲過程と,競合する消光過程を決定する要因を解明することを目的とする.得られた学術的知見は,より高性能なシンチレータを,学理に基づいて材料設計するための明確な指針となる.従来,経験知や勘に基づく材料設計が行われていた当該分野において,材料設計手法のパラダイムシフトを起こす.
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研究成果の概要 |
本研究では、シンチレータにおける放射線入射後の励起状態ダイナミクスを、パルスラジオリシス(パルス放射線を用いた過渡吸収分光)により解析した。発光中心を添加したタイプのシンチレータでは、ホストから発光中心へのエネルギー移動過程について焦点を当て、解析を進めた。一方で、発光中心を添加せずとも効率的なシンチレーションの得られる材料においては、励起状態形成初期からの減衰挙動を解析した。 これら双方の材料を対象とした研究を進めた結果、シンチレーションに寄与しない励起状態のダイナミクスとして、ナノ秒以内での非常に高速な消光過程が共通して存在し、その寄与はホスト化合物ごとに異なることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で明らかにした、シンチレータにおける励起状態ダイナミクスは、特に消光過程の観測という観点では世界で初めてのものである。これは、放射線物理と物性物理の境界領域における新たな知見である。これは、放射線により形成される電離や励起状態の空間分布を反映したと考えられるものである。 シンチレータにおける消光過程を明らかにしたことは、この消光過程の回避を通じた材料設計手段を可能とする。本研究の成果に基づいた材料設計により、より高いシンチレーション収率の材料が実現されれば、核医学装置への搭載や資源探査への利用などにより、人類の厚生や経済活動へと貢献することが可能である。
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