研究課題/領域番号 |
19H00893
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 健 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (40359683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,370千円 (直接経費: 34,900千円、間接経費: 10,470千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2020年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2019年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
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キーワード | 有機合成化学 / 構造有機化学 / 物理有機化学 / 不斉合成 / 触媒化学 / 触媒 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、カチオン性ロジウム(I)/ビアリールビスホスフィン錯体を用いた環状ポリインの触媒的分子内[2+2+2]および[2+1+2+1]付加環化反応により、面不斉を有するベルト型環状π共役分子およびらせん不斉を有するメビウス帯型環状π共役分子の触媒的不斉合成を検討する。そして、合成した新しい環状π共役分子の特性を評価する。この合成法は、高エネルギーのアルキンからベンゼンが生成する不可逆な発熱反応であること、上記のロジウム錯体がこの反応に著しく高い触媒活性と選択性を示すことから、極めて有力な環状π共役分子の合成戦略になると期待できる。
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研究実績の概要 |
今年度は、以下に示す研究を実施し有益な知見を数多く得た。カチオン性ロジウム(I)/軸不斉ビアリールビスホスフィン錯体触媒を用いた[2+2+2]付加環化反応による触媒的芳香環構築法を検討し、S字型ダブルアザ[11]ヘリセンの不斉合成、S字型ダブルヘリセン含有シクロフェニレン誘導体の不斉合成、シクロフェナセン型シクロフェニレン誘導体の合成、面不斉キラル型シクロフェニレン誘導体の不斉合成、軸不斉スチレンおよびスチルベン誘導体の不斉合成、などに成功した。そして、これらの合成されたπ共役分子の結晶構造、電子構造、光学特性、およびキロプティカル特性を実験と理論計算により明らかにした。また、シクロフェニレンーエチニレン誘導体とアルキンの[2+2+2]付加環化反応が高収率で進行しトリフェニレン骨格を有するシクロパラフェニレン誘導体の合成にも成功した。得られたトリフェニレン骨格を有するシクロパラフェニレン誘導体は凝集誘起発光を示した。上記のシクロフェニレン誘導体はこれまでに合成例のないトポロジーであり、また、シクロパラフェニレン誘導体で初めての凝集誘起発光であることから、これらの成果は、きわめて大きな意義をもつ研究成果であると考えている。これらの成果は、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を示すものである。さらに、カチオン性ロジウム(I)/軸不斉ビアリールビスホスフィン錯体触媒を用いることで、異なる3つの不飽和成分を用いた不斉[2+2+2]付加環化反応によるシクロヘキサジエニルアミンの不斉合成にも成功した。この反応はキラルなシクロフェニレン誘導体の不斉合成への応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、これまでに合成例のないトポロジーを有する様々なシクロフェニレン誘導体の不斉合成や高選択的な3成分不斉[2+2+2]付加環化反応に成功したことから、研究はおおむね順調に進展していると考えている。また、今年度得られたこれらの成果は、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を示すものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、特異なトポロジーを有する様々なシクロフェニレン誘導体の触媒的不斉合成に挑戦していきたいと考えている。そして、環状π共役分子を含むパイ電子系化合物の触媒的不斉合成における、触媒的芳香環構築反応の高い有用性を実証していきたいと考えている。
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