研究課題/領域番号 |
19H00941
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (10211997)
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研究分担者 |
金岡 雅浩 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (10467277)
松本 大生 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (30632129)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2020年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2019年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
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キーワード | 果樹 / 受粉受精 / 不和合性反応 / 不和合性共通因子 / 花粉管伸長 / 自家不和合性 / 果樹ゲノム科学 / 組換え遺伝子 / 不和合反応 |
研究開始時の研究の概要 |
バラ科サクラ属果樹の多くが示す自家不和合性は,栽培と育種の大きな障壁となっている.本研究では,不和合反応の枢要を担う花粉S因子とS-RNase不活化因子の機能を明らかにし,さらに不和合性花粉側共通因子の機能も明確にする.これらを通じ,分類学上広範な植物が共有するS-RNase依存性配偶体型自家不和合性機構において,如何にしてサクラ属に特異な認識機構が成立したのかという進化遺伝学上の謎を解明し,さらにその不和合性認識機構の分子基盤を明らかにする.本研究は,研究過程で開発された技術と得られた新知見を応用し,自家不和合性を人為制御するための栽培技術や育種法の開発を行う包括的園芸科学研究である.
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研究実績の概要 |
(共通反応に関する仮説検証実験)昨年度に得られた結果の検証のため,異なるSハプロタイプ由来の組換えS-RNaseを用いた共免疫沈降実験を行ったところ,昨年度と同様にS-RNaseとMGSTの結合が確認されると同時にSFBとの結合も確認された.しかしながら,昨年度までの実験で検出されたDnaJ様タンパク質と同じタイプのDnaJ様タンパク質は検出されなかった.DnaJ様タンパク質は新たな共通因子候補であるため,この結果についてはさらに検証する必要がある.MGSTの立体構造をin silicoで検証したところ,チオレドキシン活性を持つ可能性が高いことを示唆する結果が得られた. (和合反応に関する仮説検証実験)S locus F-box likes(SLFLs)およびS haplotype-specific F box likes(SFBLs)によるS-RNaseのポリユビキチン化を様々な条件と実験手法により検討したが,現在までにS-RNaseのポリユビキチン化は見られていない. (不和合反応に関する仮説検証実験)昨年度に行った組み換えS-RNaseを用いたプルダウンアッセイで,雌ずい因子S-RNaseと花粉因子SFBの結合が初めて確認された.本年度,この検証のために異なるSハプロタイプの組み換えS-RNaseを用いた検証実験を行ったところ,昨年度と同様に自己特異的にS-RNaseとSFBが結合することが確認された. (組換え花粉を用いた証明実験)昨年度までの実験でデザインしたMGSTとSFBのアンチセンスオリゴを用いてin vitroおよびin vivoで両遺伝子のノックダウンにより不和合性反応の打破が認められたので,その結果を取り纏めて論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度の初めに計画した実験のほとんど全てを実行することができ,一定の成果を得た.しかしながら,予定通り進んでいない小課題もあるため,おおむね順調に研究が進んでいると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
サクラ属果樹類は,開花が年1回であることに加え,植物体のサイズが大きいので,実験室での植物の育成を行うことが難しい.このため花を材料にした実験を行うことができる期間が限られる.この困難な状況を打破して,飛躍的に研究を進めるために,モデル植物などを用いて,サクラ属の不和合性反応系を再現することを試みていく.
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