研究課題/領域番号 |
19H00992
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鹿内 利治 京都大学, 理学研究科, 教授 (70273852)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
2021年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2020年度: 14,040千円 (直接経費: 10,800千円、間接経費: 3,240千円)
2019年度: 15,600千円 (直接経費: 12,000千円、間接経費: 3,600千円)
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キーワード | 光合成 / 葉緑体 / 電子伝達 / サイクリック電子伝達 / PTOX / ATP合成酵素 / PGR5 / NDH / 光化学系Ⅰ / チラコイド膜 / プロトン駆動力 / Flv / シトクロムb6f複合体 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成は過剰光による傷害を回避しながら、光を効率的に利用するという難しい課題を抱えている。その調節の核心部は、チラコイド膜ルーメンの酸性化を介して行われる電子伝達の抑制である。一方で、プロトン濃度勾配の形成は、膜電位とともに、プロトン駆動力としてATP合成(光合成のアクセル)に寄与する。植物の過酷な光環境への適応は、このアクセルとブレーキの調整であり、それはプロトン駆動力の大きさと成分の調節に他ならない。植物の進化の中で、この制御戦略について、後戻りのできない選択が何度か行われた。本研究は、被子植物が選ばなかった戦略を実験的に再現し、現在の装置が選ばれた理由を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
陸上の過酷な光環境に適応するため、被子植物はいくつか後戻りのできない選択をした。その理由を明らかにするため、合成生物学のアプローチを採り、異なる進化を選択した植物を創作した。被子植物が優秀な電子の安全弁であるFlvを捨てたことは大きな謎である。実際、被子植物へのFlv導入は、植物に変動光耐性を与える。本研究では、プラストキノンから電子を抜き取るPTOXを活用した。葉緑体ATP合成酵素のFo-リングは14のcサブユニットから成る。この数は1分子のATP合成に必要なプロトンの数を決定し、プロトン収支を決める決定的な選択であった。我々は、この数を15に変更した植物を作成した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
植物の基本的な光合成反応装置は、シアノバクテリアから被子植物まで保存されているが、調節機構については、ある程度の多様性が見られる。それは、それぞれの光合成生物が異なる光環境に適応したためである。本研究は、適応装置を大きく入れ替えることにより、被子植物が何故、現在の装置を選んだのか、今まで答える手段がなかった問いに迫るものである。またその成果から、調節機構には驚くべき可塑性があり、作物の光環境ストレスに対する耐性を強化する試みにつながる可能性がある。実際、我々は、安全弁の一つであるFlvをイネに導入し、その変動光耐性の強化を報告している。
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