研究課題/領域番号 |
19H01002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西村 剛 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 准教授 (80452308)
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研究分担者 |
徳田 功 立命館大学, 理工学部, 教授 (00261389)
宮地 重弘 京都大学, ヒト行動進化研究センター, 准教授 (60392354)
香田 啓貴 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70418763)
森本 直記 京都大学, 理学研究科, 准教授 (70722966)
伊藤 毅 京都大学, 総合博物館, 助教 (20711485)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2021年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2020年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2019年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
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キーワード | 音声言語 / 霊長類 / 発声 / 喉頭 / 進化 / 霊長類的基盤 / 話しことば / 声帯振動 / 音声 / 声帯膜 / 進化プロセス / 生態振動 |
研究開始時の研究の概要 |
話しことばと歌声では、それぞれの音声操作に適した声帯振動パターンが異なる。ヒトは話しことばのパターンに優れるが、サル類は、音声の大きさや長さ、高さ、声質など、音楽的要素の変化によってコミュニケーションをしていることから、歌声の振動パターンの操作に適した特徴を有していると期待される。本研究課題は、電気声門図や高速カメラにより、サル類の声帯振動の特性を示し、高解像度MRIにより、声帯を含む喉頭の三次元形態の特徴を明らかにする。それとの比較により、ヒトに話しことばの声帯振動パターンへの適応的特徴を見いだし、その進化プロセスを示すことで、言語と音楽の進化プロセスに音声生理学的視点を導入する。
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研究成果の概要 |
本研究は、サル類の声帯には声帯膜が必ず付加されていることを明らかにし、それを欠くヒトの声帯は派生的であることを示した。さらに、サル類では、声帯と声帯膜の振動の相互作用により、カオスやサブハーモニクスといった非線形現象が容易に生じることを明らかにした。その特性により、多様な音源を発生させて豊富な音声レパートリーを形成することができる反面、音源は非連続的変化に富んで不安定である。一方、ヒトは、単純な構造により、安定した声帯振動を維持できる。その安定した音源により、刻々と変化する音声系列をクリアーに発信する音声言語が可能になったことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、声帯などの器官形態の進化的変化も音声言語の進化に必要であることを示した。音声言語を含む言語の進化プロセスの解明には、ソフトウェアとそれを支えるハードウェアとの共進化を理解する必要があることを改めて認識させる結果となった。ヒトは、本来、不随意に動く声帯や呼吸の運動を、脳で作られた音声計画に沿って随意に制御して、音声言語を駆使している。サル類の複雑な構造では、振動を精緻に制御するのは困難である。声帯をはじめとする音声器官の運動の随意性を支える生物学的基盤とその仕組みの解明は、本研究の成果で見えてきた音声言語の進化プロセスの理解をさらに深めると期待される。
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