研究課題/領域番号 |
19H01010
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 康紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (90466037)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
45,890千円 (直接経費: 35,300千円、間接経費: 10,590千円)
2021年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2020年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2019年度: 19,370千円 (直接経費: 14,900千円、間接経費: 4,470千円)
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キーワード | 記憶固定化 / 記憶痕跡 / 空間記憶 / 前帯状皮質 / 海馬 / 空間文脈細胞 / 場所情報 / カルシウムイメージング / 場所記憶 / 場所細胞 / 記憶学習 / 抽象化 / 大脳皮質 |
研究開始時の研究の概要 |
情報の抽象化は脳での情報処理の基本である。場所情報では嗅内野格子細胞と海馬場所細胞などに担われる場所の絶対情報を元に、例えば「自宅の部屋」といった抽象化が行われていると考えられる。しかし、抽象化された概念が脳のどこでどのように形成、表現されているかは明らかではない。我々は最近、空間への曝露を繰り返すことで、前帯状皮質に、空間の特定の地点ではなく、その空間内であればどこでも反応する細胞、つまり空間文脈に反応する神経細胞が出現することを見出した。そこでこの「空間文脈細胞」が抽象化された場所概念の認識と記憶を担うと考え、その形成の細胞メカニズムを中心に場所情報の抽象化についての研究を行っていく。
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研究成果の概要 |
我々は、空間への曝露を繰り返すと前帯状皮質に、ある空間内どこでも反応する空間文脈細胞を見出した。空間文脈細胞はまず場所細胞として出現した後、受容野が広がり、空間文脈細胞になった。海馬神経活動をDREADDを用いて抑制したところ、形成されなくなった。しかし一旦形成された空間文脈細胞は抑制されなかった。睡眠中の海馬活動を抑制したところ、同様に空間文脈細胞の形成が阻害された。これは長期記憶と性質を共にする。そこで、記憶痕跡細胞に発現するとされるc-fosプロモーターを用いてG-CaMPを発現させたところ、多くの細胞が記憶痕跡細胞となった。これらから空間文脈細胞は記憶痕跡を担っていると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで記憶エングラム細胞という概念が知られていましたが、そういった細胞が一体どの様な記憶情報をコードしているのかは明らかではありませんでした。わたしたちは記憶エングラム細胞が抽象概念化された場所情報を担っていることに気づきました。これは物事を記憶するときに内容を抽象化することとも一致しています。今後の研究では、アルツハイマー病モデル動物などでこの細胞がどうなっているかを観察していきたいと思っています。
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