研究課題/領域番号 |
19H01026
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣田 圭司 京都大学, 医生物学研究所, 准教授 (90631250)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2020年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 炎症性Tヘルパー細胞 / 自己免疫性関節炎 / IL-17 / IL-23 / Tヘルパー細胞 / 炎症性サイトカイン / 自己免疫疾患 / Th17 / Th17細胞 / SKGマウス / Th17 cells |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、自己免疫性T細胞の認識する抗原の同定、時空間的な分化および機能の制御機構、炎症性Tヘルパー細胞を起点とした組織炎症の分子基盤について明らかにする。具体的には、炎症性サイトカインであるインターロイキン-17産生Tヘルパー(Th17)細胞の自己抗原認識による自己免疫疾患発症メカニズム、炎症組織に局在する自己免疫疾患を惹起する Th17細胞による炎症制御機構、 組織炎症の増悪化に関わるTh17細胞と炎症性自然リンパ球間の機能制御に関わる環境因子の同定。また、臨床検体を用いて、同定した因子とヒト自己免疫疾患の関連を明らかにし、免疫学的な炎症制御法の基礎を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究課題では自己免疫性関節炎(SKG)モデルを用いて、インターロイキン-17(IL-17)を産生する関節炎惹起性T(Th17)細胞の認識する新規自己抗原を同定し、関節炎局所に局在するTh17細胞と炎症組織細胞による時空間的な相互作用と炎症増幅・慢性化機構の分子基盤を細胞・分子レベルで明らかにする。本年度、同一個体の滑膜組織に共局在するIL-17-eGFP+ Th17細胞とFoxp3+ 制御性T細胞の可塑性の解析として、Foxp3+ 制御性T細胞がIL-17産生エフェクターTh17細胞へと表現型が変化する可能性があるかどうか、またその逆についても検討をおこなった。それぞれの細胞を細胞除去抗体を使い炎症組織内で除去後に解析をおこない、それぞれのT細胞系統間の可塑性はほとんど起こっていない結果を得た。したがって、炎症環境下においてもFoxp3+ 制御性T細胞には安定した系統維持維持機構が作動していることが示唆された。 IL-23-Venusレポーターマウスの細胞動態と制御機構の解析を進めた結果、IL-23産生樹状細胞とCD103、CD11bマーカーとの相関性について新規の知見を得た。また、定常状態の腸管組織内ではマクロファージなどの他のMyeloid系統の細胞からはIL-23の産生が検出できなかった。 炎症局所におけるCCR2+炎症性単球の役割を明らかにするため、CCR2欠損マウスを用いて自己免疫性関節炎に対する影響を調べた結果、病態発現へ強い影響があることを見いだした。CCR2+細胞の炎症滑膜への集積が病態の慢性化に必須の因子であることを示唆する結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の目標は、関節炎惹起性T(Th17)細胞の認識する新規自己抗原の同定および関節炎局所に局在するTh17細胞と炎症組織細胞による時空間的な相互作用と炎症増幅・慢性化機構の分子基盤を細胞・分子レベルで明らかにすることであり、本年度、順調な研究進捗が得られた。 Th17細胞、制御性T細胞間の表現型転換の可能性を解析することで、炎症局所内において病態惹起性エフェクター細胞と免疫抑制性細胞間の可塑性は非常に起こりにくいという意義のある実験結果を得た。 信頼性の高いIL-23レポーター系統を用いることで、これまで多くの異論があるIL-23産生の細胞源および関連する表面抗原との相関などをシングルセルレベルで検証が可能となった。CCR2欠損マウスのバッククロスも終え、自己免疫性関節炎の発症および慢性化への強い寄与を見いだしたので、今後の詳細な解析への展開が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、4年度の研究計画を引き続きおこなうとともに、新しく以下のサブプロジェクトに取り組む。 作製したIL-17-eGFP Foxp3-hCD2レポーターSKGマウスを用いて、関節炎局所でのIL-17産生エフェクターT細胞とFoxp3+制御性T細胞間の可塑性についての議論に決着をつけるため、詳細なTCRレパートリー解析とシングルセルRNAシークエンス解析を組合せ、それぞれの細胞の相同性および免疫学的シグネチャーを明らかにする。 シングルセルレベルでのIL-23産生細胞の可視化と詳細な誘導因子の同定が可能となるIL-23レポーターマウスの作製に成功したので、腸管免疫応答におけるIL-23産生樹状細胞の機能的解析とIL-23産生機能獲得に必要な腸内環境因子およびシグナル伝達分子について解析をすすめる。また、腸管IL-23産生樹状細胞に特異的な表面マーカーの探索もおこなう。 炎症滑膜組織内にはCCR2+炎症性単球が存在し、Th17細胞と協調的に炎症を増悪化することが示唆されている。CCR2欠損マウスを用いて、炎症性単球側またはTh17細胞側のCCR2を欠損した養子移入実験系で、自己免疫性関節炎モデルでの細胞特異的なCCR2の役割を明らかにする。CCR2+単球の炎症滑膜局所における細胞フェノタイプを解析し、関節炎特異的なエフェクター分子の探索を進める。
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