研究課題/領域番号 |
19H01109
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
Attrapadung Nuttapong 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (40515300)
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研究分担者 |
縫田 光司 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (20435762)
照屋 唯紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (20636972)
花岡 悟一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 首席研究員 (30415731)
坂井 祐介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (40750659)
松田 隆宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究チーム長 (60709492)
山田 翔太 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (70750834)
村上 隆夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80587981)
Schuldt Jacob 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80750893)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
45,110千円 (直接経費: 34,700千円、間接経費: 10,410千円)
2023年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2021年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2020年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
2019年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
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キーワード | 暗号理論 / 情報セキュリティ / プライバシ保護技術 / 高機能暗号 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで多様な機能・性質を持つ暗号方式の設計がなされているが、個別化設計により暗号方式同士の互換性が損なわれ、異なるシステム上の暗号化データを相互に利活用することが困難となっている。本研究では、任意の高機能暗号方式による暗号文を、異なる機能・性質をもつ別の高機能暗号方式の暗号文に変換可能とするアジャイルクリプト技術の実現を目指す。これにより、例えば、耐量子計算機暗号を用いた厳重な保管がなされているデータベース上の情報を、準同型暗号の暗号文に変換し暗号化状態のままデータ処理を行うことや、関数暗号の暗号文に変換することで流出に対する高い安全性を提供しながら正当な利用者によるデータ共有が可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究は、複数の任意の高機能暗号方式における暗号文変換および方式の組み合わせ変換が可能とする「アジャイルクリプト技術」の実現を目指す。今年度の代表的な成果は以下である。 - 秘匿計算という、情報を秘匿したままデータ解析ができる技術に関して、様々な計算クラスに対応可能な秘匿並列計算の最適なプロトコルが得られ、成果は情報セキュリティ分野トップ1(*)国際会議ACM CCS22で発表した。(*Google Scholar Computer Security and Cryptography subcategory。) また、機械学習の秘密計算(国際会議PETS22)や、秘密計算プリミティブの改良(国際会議ACM ASIACCS22、ACNS22(2件))、プライバシー保護検索(PIR)の高度化(国際会議TCC22、ITC22)、差分プライバシ技術の高度化(国際会議ACM CCS22)の成果が得られた。 - 高機能暗号について、様々な成果が得られた:関数暗号の高度化(国際会議CRYPTO22、TCC22)、準同型暗号の高度化・高安全化(国際会議ACISP22、IWSEC22、APKC22)、公開鍵暗号の高安全化(国際論文誌Journal of Cryptology)、関数署名の高度化(国際会議SCN22)、ゼロ知識証明技術の変換(国際論文誌Journal of Cryptology)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アジャイルクリプト技術について成果を複数得られたため、おおむね順調に進展していると自己評価する。具体的に、進行状況は主に以下述べられる。 - 秘密並列計算フレームワーク(ACM CCS22)や機械学習の秘密計算(PETS22)の成果は、単体の秘匿計算から最適な秘匿並列計算の変換や、多数の実数演算における秘密計算変換を含んでいるのため、高いアジリティレベルの変換を達成できた。 - 高機能暗号の成果に関し様々な変換が得られた。例えば、ゼロ知識証明の異なる要素技術であるNIZKとSNARGの変換は高いアジリティレベルの変換を達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、これまで得られた様々な個別暗号技術の成果をまとめたフレームワークの確立や効率の改良の提案を目指す。得られた成果は、権威ある国際会議や国際論文誌での発表を目指す。特にこれまで大きい成果が得られた以下のサブ研究課題を重点的に研究を引き続き行う。
[プライバシ情報の保護技術のアジャイルクリプト]本研究で昨年度得られた成果である秘密計算フレームワーク(Attrapadung et al. CCS’21)、並列計算の秘密計算(Attrapadung et al. CCS’22)、機械学習の秘密計算(Attrapadung et al. PETS’22)に基づき、高機能な計算が可能となる拡張を行う。特に、重要な課題である複数パーティ秘密計算プロトコルについて効率的なプロトコルを提案し、それらに関する相互変換を提案する。また、昨年度から引き続きゼロ知識証明と秘密計算の組み合わせフレームワークを設計し、プライバシ保護機械学習への応用を行う。さらに、差分プライバシ技術に関しては、これまでの成果(Imola, Murakami et al. Usenix Security’21, 22, CCS’22)に基づき、さらなる高性能な方式への改良を行う。膨大なデータシミュレーションのために、高性能なGPUの調達および高性能計算インフラストラクチャ(ABCIの予定)の使用料を計上する。
[関数暗号のアジャイルクリプト] 本研究でこれまで確立した関数暗号フレームワーク(Eurocrypt’19, Asiacrypt’20等)に基づき、より高いアジリティレベルの変換の実現を目指す。特に、機能性の拡大のため拡張フレームワークや、効率の良い改良方式の変換を設計する。
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