研究課題/領域番号 |
19H01147
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 昌志 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10281073)
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研究分担者 |
田崎 啓 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (80333326)
大神 信孝 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80424919)
橋本 和宜 名城大学, 薬学部, 助教 (10816242)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
45,500千円 (直接経費: 35,000千円、間接経費: 10,500千円)
2021年度: 14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2020年度: 14,690千円 (直接経費: 11,300千円、間接経費: 3,390千円)
2019年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
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キーワード | 元素 / 井戸水 / 開発途上国 / 日本 / ヒ素 / 経口曝露 / 飲用水 / 浄化材 / 飲用井戸水 / 健康リスク / 環境モニタリング / 有害元素 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者等は、開発途上国の飲用井戸水に含まれる多種多様な元素の単独および複合経口曝露による健康被害を報告してきた。上記知見は、経口する井戸水が異なれば、汚染されている元素も異なる可能性を示している。本研究では、まず、開発途上国の飲用水元素汚染の現状に基づき、飲用水に含まれる元素の健康リスクをオーダーメイドで評価できる技術を開発し、浄化すべき元素を特定する。次に、飲用水に含まれる有害元素を過不足なく除去できる浄化技術を開発・実用化することで飲用水に起因する健康被害の緩和をめざす。また、本研究で開発された健康リスク評価技術を用いて、日本人における元素の健康リスクを評価し、健康増進に貢献する。
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研究実績の概要 |
元素に汚染された飲用水の健康リスクを正確に評価するためには、「元素曝露状況を解明するフィールドワーク研究」と「環境の影響を受けた個体に対する実験研究」の両方を推進することが必要である。本研究では、元素の経口曝露により誘発される健康被害を予防することを目的とし、1)飲用水元素汚染の現状を把握するとともに、2)疫学研究と実験研究を組み合わせて、元素の健康リスクをオーダーメイドで評価できる技術を開発して浄化すべき元素を特定し、3)オーダーメイドで有害元素を吸着できる浄化技術を開発する。さらに、途上国における研究成果を用いて、4)日本人における元素の健康影響を評価することで、日本に成果を還元することを目的としている。
本年度は、ヒ素濃度が高いバングラデシュの井戸水飲用により誘発される発癌のメカニズムについて非腫瘍性ヒト角化細胞(HaCaT細胞)を用いて解析した。ヒ素により誘発されるERK及びAKT分子の活性化は、calcitriol(活性化 vitamin D3)投与によって低減された。さらに、ヒ素曝露によって増加したCyclinD1の発現量は、calcitriol投与によって低減された。一方、ヒ素曝露によって低減したp21の発現量は、calcitriol投与によって低減された。また、calcitriolは、アクアポリン-7, -9, -10の発現を増加させることにより、HaCaT細胞におけるヒ素の取り込みを軽減させた。実際に、ヒ素曝露により誘発されるHaCaT細胞のコロニー形成は、calcitriol投与によって低減されたので、calcitriolはヒ素性発癌を抑制できる可能性があると考えられる。既にcalcitriolは医薬品として臨床応用されていることを考えると、calcitriol投与により慢性ヒ素中毒患者の発癌を予防できることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症のパンデミックにより、途上国におけるフィールドワーク研究は、余儀なくペンディング状態になっている。しかし、研究室内で実施できる実験研究を推進することで、この難局を乗り越える努力をしている。本研究では、バングラデシュの飲用井戸水に含まれうる濃度のヒ素が発癌を誘発するメカニズムを、一部解明することに成功し、国際科学雑誌に公表した。以上の成果より、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も元素に汚染された飲用水の健康影響を評価するために、元素曝露状況を解明するフィールドワーク研究をインドネシア等で推進する。さらに、フィールドワーク研究の成果に基づいて、元素の健康影響を調べる実験研究(動物実験・細胞実験)を推進する。また、海外フィールドワーク研究で得られた成果を基盤として、元素経口曝露が日本人の健康に与える影響を疫学実験と実験研究の両方を用いて検討する。以上により、アジア地域の住民だけでなく、日本の住民に対する研究成果の還元をめざす。
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