研究課題/領域番号 |
19H01189
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01010:哲学および倫理学関連
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
奥田 太郎 南山大学, 社会倫理研究所, 教授 (20367725)
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研究分担者 |
森山 花鈴 南山大学, 社会倫理研究所, 准教授 (40635702)
MERE WinibaldusStefanus 南山大学, 社会倫理研究所, 准教授 (40836029)
篭橋 一輝 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (60645927)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | レジリエンス / 持続可能性原理 / 補完性原理 / コミュニティ型資源管理 / 自殺対策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、レジリエンス概念に潜む正常性基準問題をその複雑さを損なわずに捉えるべく、原理的・理論的な探求と実証研究を同時に実施し、問題の核心に迫る。具体的には、災害や自殺等、自然環境や社会環境に由来する様々な危機に対して特定のコミュニティが発揮する対応力のあり方を規定する要因について、理論的かつ実証的に解明する。同時に、個人の福祉水準の通時的維持を目指す「持続可能性原理」、および、個人と集団の望ましい関係に関する「補完性原理」を、上記実証研究に方向性を与える哲学的な基盤と位置づけ理論的に研究する。これらの研究作業を通じて「レジリエンスの倫理的妥当性を支える条件とは何か」を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では、自然環境に由来する危機の問題としてコミュニティ型資源管理の諸事例、および、社会環境に由来する危機の問題としてメンタルヘルス対策の諸事例を横断的に調査・分析することを通じて、個々の生の現場の個別性を「正常性」の尺度で軽視しかねないレジリエンス概念に何が社会倫理的な基盤を与えるのかを解明しようと試みた。国内外の現地調査を通じて様々な事例を収集した結果、補完性原理(国家などの上位集団は、下位集団や個人の自律的な発展を「補完」することを唯一の役割とすべきである)こそがそれに当たる、という仮説(シーゲル仮説)に到達した。これを様々な事例の調査を通じて検証するという新たな研究課題が発見された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
通常のレジリエンスに関する研究では、社会の強靭さや個人の心理のしなやかさに着目し、それを可能にする個人的・環境的要因を抽出するものがほとんどだが、本研究が提示した「シーゲル仮説」では、そういったレジリエンスそれ自体には倫理的な正当性はなく、個人に対する集団の役割のあり方、それに伴う組織的な意思決定構造のあり方こそが、まずもってレジリエンスに倫理的な基盤を与える、と考える点で、各地での個々の営みを統計的な視点で過度に一般化することなく評価する視座を与えうる。また、この視座は、各地での個々の実践者たちにとっての自己理解にも利用可能なものであり、学術的・社会的両面で意義があると思われる。
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