研究課題/領域番号 |
19H01191
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01020:中国哲学、印度哲学および仏教学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
齋藤 智寛 東北大学, 文学研究科, 教授 (10400201)
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研究分担者 |
佐竹 保子 大東文化大学, 外国語学部, 特任教授 (20170714)
冨樫 進 東北福祉大学, 教育学部, 准教授 (20571532)
川合 安 東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (30195036)
堀 裕 東北大学, 文学研究科, 教授 (50310769)
長岡 龍作 東北大学, 文学研究科, 教授 (70189108)
斉藤 達也 国際仏教学大学院大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (70813731)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 新宮寺 / 続高僧伝 / 一切経 / 道宣 / 玄奘 / 大蔵経 / 古写経 / 日本古写経 / 新宮寺一切経 |
研究開始時の研究の概要 |
唐・道宣の編纂した中国の仏教史書『続高僧伝』玄奘伝について、テキストと内容の双方について総合的に研究する。テクスト研究としては宮城県の名取新宮寺一切経本について日本古写経諸本との関係を明らかにし、新宮寺一切経全体の解明の布石ともする。内容については、中国思想・歴史・文学、インド考古学、僧伝文学など分野横断的な記述をもつ玄奘伝の資料価値を最大限に発揮して考察をおこなう。
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研究実績の概要 |
一、研究集会の開催 2022年6月18日、第四回研究集会「最晩年の著作から見た道宣の世界像―霊異と華夷観念―」をオンラインにて開催した。齋藤智寛および堀裕の司会により、『続高僧伝』の撰者道宣の『律相感通伝』について、齋藤智寛「天人口授の語るもの―『律相感通伝』に見る漢土と中国固有思想の再評価」、倉本尚徳(京都大学)「晩年の道宣による天竺中土・中国辺地説の克服―住持三宝と感応思想」、陳志遠(中国社会科学院)「道宣的絶筆―解讀《律相感通傳》」(中国語)、以上3件の研究発表を行い、当該テキストの成立、流伝から、内容に至るまで多面的な報告がなされた。さらに、宮嶋純子(関西大学)氏のコメントを得て、総合討論を行った。発表の一部と討論は、陳頴傑(寧波財経学院人文学院)の通訳により、日本語および中国語の二カ国語で実施し、日中両国からの多数の参加を得た。12月25日、第五回研究集会「日本における高僧伝の継承と展開」をオンラインにて開催した。内容は、佐竹保子による研究報告「名取本『玄奘伝』の字形についての一考察―「正字」、異体字、誤字―」、大東文化大学外国語学部教授・藏中しのぶ先生による公開講演「古代日本の高僧伝の成立と玄奘・道宣」であった。研究報告では写本の校正、定本づくりには近代的な用字規範とは別な発想が必要であることが確認され、講演会では日本における僧伝の文体形成を、大安寺という場に即して解明する藏中氏の研究成果を学ぶことが出来た。 二、翻刻と校異の整理 年度前半において新宮寺本『続高僧伝』巻四の翻刻と校異を分担作成し、九月からは見直しと統一の作業に入った。2023年3月までに、全29紙のうち第9紙から第16紙までの統一作業を終えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料調査について、本年度は東北歴史博物館に委託中の新宮寺本『続高僧伝』巻五を調査、撮影の予定であったが、連絡の行き違いなどにより2024年度へ持ち越しとなった。 研究集会の開催については、国際会議を含む2回の研究集会を開催し、それぞれ研究代表者、分担者が発表したのは予定通りもしくはそれを上回る成果と言える。特に、オンラインでの公開研究会という形を取ったことにより、国内外から多数の研究者や大学院生の参加を得ることが出来、広く学界に最新情報を提供することがのみならず、教育上の意義も高いものがあった。 資料整理について、巻四の翻刻、校異の草稿作成をおおむね終え、また全体の四分の一にあたる7紙ぶんの文字を確定させた。異体字処理などの方針が定まれば統一作業は速くなるから、この進度は十分に順調と言える。また、第五回研究集会での研究分担者・佐竹保子による報告は、この翻刻と校異の方針決定と密接に連関しており、いよいよ共同研究の実を挙げたものと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度から持ち越された、『続高僧伝』巻五の調査撮影を、東北歴史博物館にておこなう。本巻は義解篇の初巻で、道宣が理想化した梁朝の仏教が記録された重要巻であるため、最終年度である本年度にはぜひ調査を終えたい。 研究報告書資料編の準備として、今年度も月一回のペースで翻刻校異作業をおこなう。並行して印刷業者を選定し、資料写真の呈示の仕方や、翻刻本文と校異の記載法などについて、入念な打ち合わせをおこなう。さらに、研究報告書論文編の準備として、研究集会も1~3回ほど開催したい。形式は、新型コロナウイルスの感染状況にもよるが、全面オンラインを改めて、対面とオンラインのハイブリッドとし、活発な議論と広範な発信との両立を目指す。 以上の準備をもとに、研究報告書の編集を完遂する。 また、資料の所蔵者と市民に向けた成果報告会を、『名取市史』編纂委員会との共催の形で開催する。これにより、文化財を伝承する地域社会に対しての説明責任を果たすこととしたい。
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