研究課題/領域番号 |
19H01208
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福岡 まどか 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40379318)
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研究分担者 |
平松 秀樹 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携准教授 (20808828)
梅田 英春 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (40316203)
日向 伸介 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 准教授 (60753689)
福岡 正太 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (70270494)
竹村 嘉晃 平安女学院大学, 国際観光学部, 准教授 (80517045)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ラーマーヤナ / 東南アジア / 演劇 / 多元的意味 / 現代アート / 現代 / 芸術 / 文化表象 / Ramayana / Theater / Contemporary / Southeast Asia / 現代芸術 / ラーマーヤナ芸術 / 上演芸術 / メディアアート / 文化的紐帯 |
研究開始時の研究の概要 |
古代インドの叙事詩ラーマーヤナは、東南アジアの広い範囲に普及した。その伝播の過程で各地域独自の発展を遂げてきた一方で、東南アジア共通の文化遺産としても重視されてきた。近年では政治・経済的交流を目指すアセアン結束意識を醸成するシンボルとしても注目され、ラーマーヤナ・フェスティバル等の文化イベントが行われている。この研究は東南アジアにおける演劇、文学、舞踊、映画、現代アートなどの諸ジャンルを対象として、芸術表現の題材としてのラーマーヤナに与えられる多元的な意味の諸相を考察する。
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研究実績の概要 |
2021年度は、研究成果の発表に向けて、論文執筆を行った。具体的には、日本語書籍『現代東南アジアにおけるラーマーヤナ演劇』(めこん 2022年3月発行)に向けて、メンバー全員で議論を重ね、書籍の全体構成を検討し、論考執筆を行った。 当該書籍は、科研メンバーの他に、カンボジア人音楽学者のサムアン・サム教授(第4章執筆)、東京外国語大学大学院の青山亨教授(コラム執筆)にも加わっていただき、全8章から成る書籍である。論考部分の全体は3部構成で、第1部「ラーマーヤナの多元的解釈」(福岡まどかによる序論、平松秀樹論考、梅田英春論考 サムアン・サム論考)、第2部「多様化するコンテクスト」(竹村嘉晃論考、福岡まどか論考)、第3部「表象されるラーマーヤナ」(日向伸介論考、福岡正太論考)となっている。 論考に加えて、当該書籍にはこの書籍のための委嘱創作作品が3作品収録された。その作品情報は、口絵カラーページと、巻末の作品についての記述の箇所に書かれており、読者はQRコードから作品の映像クリップにアクセスすることが可能というしくみになっている。実際の創作作品を参照しつつ、創作者による解説や創作者のコンセプトなどを知ることができ、また多くの論考を読みつつ、実際の上演にもアクセスが可能という、新しい形式の書籍として出版された。写真の多用や、各地の登場人物名の対応表や、叙事詩の大筋の概説などを充実させることによって、研究書ではあるが一般読者の関心にも応え得るようなデザインや構成を心がけたものになっている。 研究成果の詳細は、2022年3月に出版社めこんより発行された書籍を参照されたい。なお、研究代表者は、出版に際して、インドネシアの叙事詩と演劇に関する全5本の講義映像を作成し、YouTube上にアップロードした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題においては、研究成果の出版を目指していたため、まずは日本語版の書籍を出版することができたことはおおむね順調な進展と言える。ただし、本来は共同での現地調査を先に予定していたが、パンデミックの状況下で調査が難しかったため、当初に考えていたように、現地調査→成果出版という流れにならず、先に成果出版に集中するかたちとなった。 共同調査が難しかった状況ではあったが、国内で科研メンバーの一部も参加し、講演と影絵上演の機会を持つことも可能となった。現地とは異なるが、各地の上演形態について、実際に知ることができる貴重な機会を作ることができたと考える。 一方でオンライン化により、メンバー間の議論や研究会を比較的頻繁に行い、また現地のアーティストともオンライン上で連携を取ることが可能となり、委嘱創作作品などに関する議論も重ねることが可能となった。 上記の点に基づいて鑑みると、計画通りの順序ではなかったものの、成果の出版は達成できたと考える。 また、2021年度分は、繰り越しにより、科研メンバーの一部は、2022年に現地調査を行うことも可能となった。代表者の福岡まどかと分担者の梅田英春は、インドネシア・バリ島にて叙事詩ラーマーヤナに基づく創作の影絵上演を依頼し、上演を観る機会を得た。 これらの成果は、映像資料、また内容の記述、などの形で編集中である。
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今後の研究の推進方策 |
その後の研究の推進方策としては、日本語版書籍の英語版出版を行うことを目指した。一部の論考内容と書籍全体の構成やデザインは同じではないが、内容的にほぼ全体を英訳した学術書の出版となっている。 国内での調査としては、引き続き、叙事詩ラーマーヤナに関する文献調査も継続し、関連の展覧会、映像上映会、演奏会、上演会などへの参加も引き続き行っていく予定である。 また今後は、可能な範囲で現地調査を実施し(すでにメンバーの一部は現地調査を再開している)、新たな成果の発表についても考えていく予定である。
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