研究課題/領域番号 |
19H01236
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02020:中国文学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
濱田 麻矢 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (90293951)
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研究分担者 |
田村 容子 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (10434359)
及川 茜 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (40646725)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | サイノフォン / 華語文学 / ジェンダー / 社会主義リアリズム / テクストと舞台 / 新たな文学史 / 移民 / 二言語創作 / 戦争ものがたり / エスニシティ / 在米華人 / ソビエト / マレーシア / 社会主義文化 / マレーシア華人文学/映画 / metoo / マレーシア華語文学 / 中ソ文化比較 / 在米華人作家 |
研究開始時の研究の概要 |
サイノフォン(華語語系)とは、”中華人民共和国を中心とする”という従来の中国現代文学研究における前提を無効化し、「華語」を結節点として中国語圏文学の創生を世界規模で横断的に捉えてゆこうとする概念である。 本研究では、中国語圏を貫く事件(抗日戦や国共内戦など)の語られ方を、異なる地域の文学の精読を通して比較し、その眼差しの異同を分析する。特に共産主義思想の扱われ方に注目すると同時に、サイノフォン作品における「トラウマ」を追い、最終的には従来の地域別文学史に替わる新たなサイノフォン文学史の構築を提言したい。
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研究実績の概要 |
今年度は本研究にあたっての目標の一つでもあった翻訳アンソロジー『華語文学の新しい風』を2022年11月に出版することができた。サイノフォンテクストが不可避的に抱える地理的政治性とともに、それぞれのテクストがもつ豊穣な文学性について紹介し、詳細な前言と解説を付すことによって、現在のサイノフォン研究について広く世に問うことができた。 2023年3月には本書についてのオンラインブックトークを開催して北米、香港からスピーカーを招き、創作者および研究者の両サイドが語るサイノフォン(華語)文学についての知見に耳を傾ける機会を持った。100に届くオーディエンスが参加し、質問も活発に飛び交って、一般読者を含む日本の学術界にサイノフォンへの関心を呼び起こした。 また、同じく3月には越境文学・語圏ネットワーク研究集会にパネル参加をし、台湾・マレーシア・アメリカ・チベットといった地域で生まれたテクストとサイノフォンをテーマに、他語圏の研究者と一国一文学を超えた語圏文学研究の可能性について討論を重ねた。 このようにサイノフォンの概念そのものを掘り下げるのと並行して、個別のサイノフォン作家およびテクストについての研究も進行させた。特にジェンダーについては、謝冰心・白薇といった女性作家、魯迅『祝福』、馮徳英『苦菜花』などのテクストに現れる母親像、京劇やバレエに現れる女性形象、現代社会における性的暴力の描かれ方などについてアプローチを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りの出版を果たしたサイノフォンアンソロジーが好評で迎え入れられ、サイノフォンや華語文学という概念の定着に貢献することができた。 当初予定していた海外交流はいまだ対面では実現できていないが、オンラインを通じて各地の研究者との連絡は継続して進められており、ワークショップやシンポジウムでの研究交流はむしろ活発になっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になる2023年度には、現在まで進めてきた翻訳や研究のアウトプットをさらに強化したい。具体的には、中国や台湾、韓国の研究者との連携をはかり、ジャンル横断的にサイノフォン研究を進めてゆく。パンデミックが収束すれば、対面を中心とする国際シンポジウムを開催して、サイノフォン研究、特にジェンダー問題との関連についてアウトプットをはかりたい。
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