研究課題/領域番号 |
19H01251
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川島 隆 京都大学, 文学研究科, 准教授 (10456808)
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研究分担者 |
伊藤 白 学習院大学, 文学部, 准教授 (50761574)
山村 高淑 北海道大学, 観光学高等研究センター, 教授 (60351376)
大喜 祐太 近畿大学, 総合社会学部, 准教授 (60804151)
葉柳 和則 長崎大学, 多文化社会学部, 教授 (70332856)
中島 亜紀 (西岡亜紀) 立命館大学, 文学部, 教授 (70456276)
西尾 宇広 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (70781962)
新本 史斉 明治大学, 文学部, 専任教授 (80262088)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | Heidi / Johanna Spyri / media mix / contents tourism / Swiss national myth / the Alps / translation / counter public sphere / 「ハイジ」 / 「アルプスの少女」 / スイス像 / メディアミックス / コンテンツ・ツーリズム / 翻訳 / 民衆文化 / 対抗公共圏 / 観光/ツーリズム |
研究開始時の研究の概要 |
世界中で愛読されてスイスの「国民神話」と呼ばれる『ハイジ』は、これまで繰り返し映画化・舞台化され、観光産業やキャラクターグッズ産業と結びついて巨大な文化現象を生み出している。本研究では、ヨハンナ・シュピーリの原作小説から日本製のTVアニメまで、数多くの言語やメディアをまたいで広がるこの現象の全体像を捉えるとともに、「アルプスの少女」の物語とイメージを受容する側の文化や社会の特性を浮き彫りにする。
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研究成果の概要 |
ヨハンナ・シュピーリの小説に由来する「ハイジ」の像は今日、スイスという国を象徴するアイコンとして国際的に流通し、観光産業やキャラクターグッズ産業に利用されている。本研究は、原作小説および数多い翻訳・翻案を超領域的かつメディア横断的にひもとき、伝統的な「アルプスの少女」にまつわるエキゾチシズムとナショナリズムを脱構築するシュピーリの戦略からハイジ像の独自性が生まれていることを示した。この像が喚起する自由さの感覚は、今日世界的な影響力を誇る日本製アニメのような映像化作品にも継承され、読者や視聴者が家父長的なジェンダー体制から逃れて解放感を共有する対抗公共圏を創り出すことに寄与してきたと考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、ポップカルチャーの分野で国際的に流通する「ハイジ」像の起源と広がりを分析することを通じ、文学に由来するコンテンツが異なる言語圏・文化圏へと翻訳される過程で幅広いファン層を巻き込んで成長し、巨大な文化現象を生むに至るモデルケースを提示した。その現象はときにツーリズムを介して地域社会を活性化させ、政治・経済の分野にまで影響を及ぼす。研究成果を社会に還元するため、スイスおよび日本で実施した複数の展覧会は、多くの来館者を集めて好評を博し、各種メディアで報道された。その反響の大きさは、本研究が支援した「ハイジ」関連資料のアーカイブがUNESCO「世界の記憶」に選定されたことからも裏づけられる。
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