研究課題/領域番号 |
19H01256
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
太田 真理 九州大学, 人文科学研究院, 講師 (20750045)
|
研究分担者 |
大関 洋平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 講師 (10821994)
成田 広樹 東海大学, 文学部, 准教授 (60609767)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2019年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 言語 / 言語脳科学 / 理論言語学 / 自然言語処理 / 形態統語論 / 脳磁図 / 経頭蓋電気刺激法 / 脳波 / fMRI |
研究開始時の研究の概要 |
言語が脳でどのように計算・処理されるのか(言語の神経基盤)を明らかにするためには、理論言語学(理論)・自然言語処理(モデル)・言語脳科学(実験)を横断した研究が必要である。本研究は、実際の言語を理解する際にかかる時間を考慮した言語理論を作り、理論を元に脳活動を予測できる計算モデルとして実装し、言語理論・計算モデルの妥当性を検証可能な高い精度の脳科学実験を実施する。以上を通じて、言語の理論・モデル・実験を互いに検証することで、言語の神経基盤を解明することを目指す。
|
研究実績の概要 |
2021年度は以下の研究を実施した。①tDCSによる文法学習の神経基盤の検討:日本語母語話者28名に対して、スペイン語の文法規則を学習する際に左下前頭回の活動を一時的に上昇させたグループ(tDCS群)では、刺激しなかったグループ(シャム刺激群)に比べて、文法判断課題の成績が選択的に向上することを明らかにした。②tDCSと脳波の同時計測による文法学習の神経基盤の検討:日本語母語話者50名に対して、tDCS前後の脳波を測定し、文法判断課題の成績と関係する脳活動の変化を検討した。その結果、tDCS群ではシャム刺激群に比べて、文法処理との関連が報告されている事象関連電位P600の振幅が減衰することが明らかとなった。前年度に実施した脳波実験から、母語話者では学習者に比べてP600の振幅が小さいことも明らかとなっており、tDCS群で観察されたP600の減衰は、より効率的な文法処理が可能になったことを示唆している。③形態素構造を反映する脳活動の変化の検討:日本語母語話者49名に対して、一定のリズムで形態素を視覚または聴覚で提示すると、刺激提示に対応した脳波の周波数成分の増加に加えて、形態素構造を反映する周波数成分の増大も観察されることを明らかにした。この結果は、視覚提示と聴覚提示の両方で生じていたため、形態素構造の構築は刺激提示のモダリティに依存しない処理であることも明らかとなった。④文に対する脳磁図実験の実施:日本語母語話者40名に対して、複数の語順からなる文を読ませた際の脳磁図を測定する実験を行った。取得済みのデータを現在解析中である。⑤実験結果に基づく言語理論・計算モデルの再検討:実験の結果に基づいて、言語理論・計算モデルの検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経頭蓋電気刺激実験、脳波実験、脳磁図実験の成果を、日本言語学会、日本神経科学学会、Society for the Neurobiology of Language、Architectures and Mechanisms for Language Processingなどの学会で発表し、論文として投稿中である(プレプリントサーバーにて公開済み)。新型コロナ感染症の影響で中断していた実験についても、概ね順調に再開できており、引き続き大きな研究計画の変更はせずに研究を進められると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
現在まで、本研究課題はおおむね順調に進展しており、今後も現在の研究体制を維持しつつ、研究目標の達成に向け努力を続ける。具体的には、データ取得済みの文に対するMEG実験のデータ解析を進め、言語学習に関する経頭蓋電気刺激実験の結果を論文として投稿する予定である。また、取得済みの脳活動データに基づく神経ネットワークのシミュレーションや、モデリングについても引き続き進めていく。
|