研究課題/領域番号 |
19H01314
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
横山 百合子 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (20458657)
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研究分担者 |
廣川 和花 専修大学, 文学部, 教授 (10513096)
森田 朋子 中部大学, 人文学部, 教授 (80293108)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 近代移行期 / 売春観 / 検梅 / 遊廓 / 芸娼妓解放令 / 遊女 / 性感染症 / 遊郭 |
研究開始時の研究の概要 |
1872年の芸娼妓解放令は、“遊女の背後には必ず売春を強制する者がいる”という近世の売春観から、“淫らな女が自ら売るのが売春である”とする近代の売春観への変容の起点をなす法である。本研究では、これを近代初頭の「売春の再定義」と位置付け、日本社会にこのような売春観の変容をもたらした政治的、社会的背景を、19世紀の国際社会の動向、性感染症をめぐる近代医学の進展等もふまえて多角的に検討し、近世近代移行期社会の実像を断絶と継続の両面から明らかにするものである。
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研究成果の概要 |
1872(明治5)年に制定された芸娼妓解放令は、“遊女の背後には必ず売春を強制する者がいる”という近世的な売春観から、“淫らな女が自ら売るのが売春である”とする近代の売春観への変容の起点をなすものであった。本研究は、これを明治初期における「売春の再定義」と位置付け、再定義が行われた国内状況および国際環境による原因を明らかにした。また、再定義以降の遊客、遊女屋(貸座敷業者)および、解放令にもかかわらず事実上の人身売買によって売春を強いられる女性たちの具体的な実態を解明した。この研究成果は、近世近代移行期の社会を連続と断絶の両側面から分析する上でのモデルを提供するものともいえよう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、身分制の論理に従って形成された近世の性売買システムが、「売春の再定義」以降の警察と医療施策による新たな管理体制に転換される過程に着目し、性売女性の主体的側面にも留意しつつ、日本における性売買の近世から近代への変容を明らかにした。これは、近世近代移行期の買売春の具体的な実態解明を通して、解放令を一片の紙切れとしてその意義を軽視してきた従来の見解を刷新するものである。また、展示による研究成果の社会的還元にも注力し、遊廓や遊女を無批判に美化する一般的風潮に対し、歴史的事実をふまえることの重要性を提起するものとなった。
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