研究課題/領域番号 |
19H01323
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03030:アジア史およびアフリカ史関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
新免 康 中央大学, 文学部, 教授 (10235781)
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研究分担者 |
濱本 真実 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 准教授 (00451782)
塩谷 哲史 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (30570197)
海野 典子 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (30815759)
熊倉 潤 法政大学, 法学部, 准教授 (60826105)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2020年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2019年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | タタール人 / ディアスポラ / 中央ユーラシア / 新疆 / 社会・文化変容 / 近現代史 / 中央アジア / 越境 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、ロシア帝国・ソ連領-中国(清朝~中華民国~中華人民共和国)新疆間の越境移動を軸に、中央ユーラシアにおけるタタール人のディアスポラ、すなわち交易活動・宗教的活動や、政治的・社会的変動にともなう移動・移住と、各地域での多様な活動に焦点を当てることを通して、19世紀後半から20世紀後半の期間における中央ユーラシアの社会・文化変容の様相を明らかにするものである。タタール人たちは、広域的な移動・移住を通して、境界をまたいだ諸地域の多様な集団を結びつける役割を担ったと考えられる。このような視点に立脚し、広域的な移動・移住の動態の中で、新たな中央ユーラシア近現代史像の提示を目指す。
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研究実績の概要 |
2年目の今年度においては、当初の計画では、ロシアの文書館における史料調査を重点的に実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下、海外での調査が不可能な状況となったため、19世紀後半~20世紀初頭におけるロシア領中央アジアから中国領新疆へのタタール人の移動・移住の基本状況、および20世紀半ばの中国領新疆からソ連領中央アジアへの移住の基本状況に関する検討を継続的に発展させることを基本的な目的として、国内で下記の作業を実施した。 ①新規の研究成果を含め先行研究の把握をさらに進めるとともに、メンバーの研究打合せで最新の研究動向に関する情報の交換、研究計画のすり合わせ等を実施した。②昨年度にロシアの文書館で実施された調査で取得されたデータをもとに、19世紀後半~20世紀初頭におけるタタール人の移動・移住および交易活動の状況に関するさらなる検討を図った。③タタールスタン等で発行されたタタール語・ロシア語による、ロシア-中央アジア、新疆の間を移住したタタール人の回想録などをもとに、移住・移動の実態、移住先における経済的・文化的活動や政治面への関与等に関する基礎的なデータを取得し、政治的状況を背景として把握しつつ検討を加えた。④ロシア帝国末期に刊行されたタタール語定期刊行物から中央アジア・新疆からの寄稿文を中心に当時のロシアー中央アジアー新疆を結ぶムスリム知識人の移動と知的交流の様相について検討した。⑤現代ウイグル語文献の分析により、20世紀半ばにおける新疆の政治的状況にまつわるタタール人の活動、その後の新疆から中央アジアへの移住について検討を加えた。 この他、海外共同研究者のウスマーノヴァ教授やアレン・フランク教授などと連絡関係を維持し、国際的な研究動向の把握と研究情報の取得・交換に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査の実施は叶わなかったが、昨年度のロシアの文書館における調査で取得されたデータのさらなる分析に加え、国内における新たな方面からの文献的な研究を通して、以下の点についてかなりの新しい知見が明らかになりつつある。 (1)清朝・ロシア帝国時代における、清朝領への新疆の移動・移住と、交易活動の実態に関する具体的な様相が明らかになりつつある。また、ロシア帝国末期に刊行されていたタタール語定期刊行物の諸記事からは、乗機のような交易活動も背景としつつk,ロシア領のボルガ・ウラル地域―中央アジアー新疆というユーラシアをまたぐ形で、各地のタタール人居住地区を拠点とするネットワークにもとづき、教育・思想面における知的な交流が広範に行われていた様子が浮かび上がってきた。他方、ソ連時代についても、ソ連領(カザフスタン)―新疆間の関係にまつわる政策に関するデータが得られつつある。 (2)新疆に移住したタタール人のタタール語・ロシア語の回想など、昨年度の新疆のイリからカザンに移住(帰還)したタタールからの聞き取り調査の結果、新疆で刊行された現代ウイグル語によるさまざま回想・記事等に関する分析を通して、1940年代等の新疆における政治的活動においてタタール人が重要な役割を担っていた様相がかなりの程度明らかになってきた。また、1950年代~60年代初頭に新疆からカザフスタンに移住し、さらにソ連崩壊後にタタールスタンに移住した際の具体的な経緯についてもデータが蓄積できている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果を踏まえつつ、19世紀後半~20世紀初頭におけるロシア領中央アジアから中国領新疆へのタタール人の移動・移住の、より具体的な様相と、その背景となるロシア帝国の諸政策、および20世紀半ばの中国領新疆からソ連領中央アジアへの移住の基本状況とその政策的背景に関する史料の調査・収集と検討を継続的に発展させる。 具体的な作業については以下の通りである。①清朝・ロシア帝国時代における、タタールスタンから中央アジアへの移動と、ロシア領中央アジアと新疆に拠点を置いたタタール人の交易活動と教育文化活動、両国家の関連する諸政策に関わるデータの取得・検討を進展させるとともに、新疆各都市のタタール人をめぐる社会・文化状況等に関するデータの収集・検討をさらに進展させる。また、ソ連時代におけるカザフスタン-新疆間関係と関連諸政策、とくに中華民国末期と中華人民共和国初期におけるタタール人の政治的動向についてさらにその具体相を明らかにするとともに、新疆からカザフスタンへ移住の経緯に関わるデータをさらに収集し、検討する。②中央アジア(カザフスタンのアルマトゥ、ウズベキスタンのタシュケント)においてタタール人から聞き取り調査を行い、中央アジア・新疆におけるタタール人コミュニティの具体的な状況、ロシア―新疆・中央アジア間の移動の実態等に関する個別事例のデータを取得し、蓄積する。
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