研究課題/領域番号 |
19H01333
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
浦野 聡 立教大学, 文学部, 教授 (60211778)
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研究分担者 |
村田 光司 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (20793558)
深津 行徳 立教大学, 文学部, 教授 (70208916)
小岩 直人 弘前大学, 教育学部, 教授 (70296002)
樋口 諒 名古屋大学, 高等研究院(文), 特任助教 (70827196)
長谷川 敬 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (90781055)
小野 映介 駒澤大学, 文学部, 教授 (90432228)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 花粉・珪藻・胞子化石 / 気候変動 / 生態史 / 古河川 / 橋梁 / 湖底土壌分析 / 城壁 / 集落 / 地域交通網 / 川港 / 土壌コア / 環境史 / 湖底土壌 / 河川舟航 / 史的環境変化 / 港湾施設 / 花粉・珪藻・胞子分析 / 古代末期 / ビザンツ期 / 流通ネットワーク / 居住区域 / 歴史的エコシステム |
研究開始時の研究の概要 |
ローマ帝国からビザンツ帝国への移行期は、アラブ・イスラム勢力が地中海に進出してきた7~8世紀に画される。それは、まさしく古代から中世への転換期でもあった。そうした時代の転換がひとびとの生活や物質文化にどのような影響をもたらしたのか。そのことを、大きな社会構造の変化との関連で解明するためには、ローマ時代からビザンツ時代にかけて、比較的安定した国際情勢の中で生活を紡いでいたひとびとの居住地域に焦点を当てるのが適切であり、トルコ南西部、クサントス川中流域は格好の調査対象たる資格がある。特に未調査の、内陸流通ネットワークと居住区画の地理学的、歴史学的、建築学的調査を行う。
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研究実績の概要 |
1)スレイマン・デミレル大学の協力者チェティン・シェンクル氏の尽力によりAkarcay川形成デルタの地形図作成を完了した。地理班は、夏に行った河床土壌採取の試みは失敗したので、衛星写真による橋梁(遺構)と集落遺構の特定に努めた。その一方、衛星写真では把握できない微細な標高データから橋梁や集落遺構、旧河床の情報を得るため数値標高モデルを入手してマッピングを行った。さらに、Eber湖採取土壌の分析からは2.2K Eventとも呼ぶに足る急速かつ深甚な気候変動(急激な乾燥化)の痕跡を見出した。 2)8月に地理班小岩と歴史班浦野、建築班深津は、現地調査を行い、4基の現存ローマ橋梁と1基の橋脚遺構を確認し、そのうち2基が現在のAkarcay川の川筋とは離れて存在していることを突き止めた。集落遺構調査では、Dura Yeriに広がる古代都市Polybososの遺跡で表面調査を行い、ヘレニズム時代からビザンツ時代にわたる遺物の存在を確認した。さらに川港遺構と思われるものも在スルメンリ橋梁1基のたもとに確認した。さらに、産業化の通時的変化を探るためMTAにEber湖採取土壌コアのICP-MS測定を依頼した。 3)Uchoyuk発掘・文化財研究所に、コンヤ大学のオズデミル・コチャク教授を訪問し、Akarcay川形成盆地周辺の古代集落遺構の全体像について情報の共有を得た。歴史班浦野・長谷川・村田は、継続して文献・史料調査に努めたが、浦野はAfyon考古博物館にて公共輸送負担をめぐる3世紀の碑文の調査を許可され、データを取得した。19世紀のオスマン期の土地・納税台帳の調査の結果、農業生産が少なくともこの時代に多様化していたとの結論を得た。 4)建築班樋口・深津は、海外研究協力者コルクート教授の発掘調査チームに加わり、Tlos城壁とKyaneai城壁の測量と3Dイメージ作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍による渡航制限も緩和され、19年度以来、3年ぶりに現地調査を行ったが、河床土壌採取の試みが失敗に終わる一方、時間的制約もあり、Akarcay盆地の橋梁調査・集落遺構調査を完了することができなかった。 また、前年度に採取したKaramik湿地からのデータは、採取土壌の錯乱により試料としての質が低いことが判明したので、研究協力者シェンクル氏の尽力で、別途ボーリング調査を行い、良好な試料を得たが、資金の不足により、マイクロXRF検査を終ええたのみで、炭素14年代測定を行うことができなかった。 トロス城壁調査は、夏季に繁茂の勢いを増す植物に阻まれ、すでに発掘を終えた箇所の城壁の測量と3Dイメージデータの作成が主となってしまった。その一方、得られたデータを分析することで、城壁の修復年代の特定に至る可能性を得られたのは収穫であった。 全体的に、予定通り進んでいる部分が7割、送れている部分が3割である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度であるので、夏に、Akarcay盆地の橋梁、集落、旧河床を特定し、年代決定に資する現地調査を終える一方、秋には文献・記録史料調査を終え、冬には成果のとりまとめを行いたい。研究の態様が、トルコの研究協力者チェティン・シェンクル氏の科学的調査・分析に多く依拠する形になったので、成果発表は、シェンクル氏とそのチームとの共著となる予定である。
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