研究課題/領域番号 |
19H01336
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50292743)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2020年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2019年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
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キーワード | 現生人類 / 早期拡散 / アジア / 旧石器時代 / 石器製作・運用技術 / 南回りルート |
研究開始時の研究の概要 |
現生人類の早期拡散に関する考古学的研究は、石刃技法の展開に依拠してきた従来の手法ではアプローチが難しい。そのため本研究では、アジア各地における石器製作・運用技術の詳細を明らかにすると同時に、行動的現代性(骨牙の使用、装身具・副葬品の製作、計画的行動性、集団・社会の複雑化、文化社会的景観の創造、言語能力・認知能力の高度化等)の発達プロセスや諸側面についても検討を加える。さらにこれまで分離して行われてきた北周りと南周りという二つのルートにおける差異が早期拡散にも認められるかについて、具体的な検討を加える。これらの研究を総合して、現生人類のアジア早期拡散プロセスに関するありうべきシナリオを描く。
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研究成果の概要 |
6万年前にアフリカで開始され4万年前に完了したとする遺伝人類学に基づく現生人類のアジア拡散説を、石刃技法の出現と拡散を指標とした後期旧石器時代の成立と同一視するこれまでの考古学上の定説は、申請者の研究により再検討が必要となった。拡散ルートには、チベットを境にして北回り(中央アジア・南シベリア・中国北部等)と南回り(インド・東南アジア・オーストラリア等)のふたつのルートがある。これまでの定説は北回りには該当するが、南回りではより早期(10万年前以降)から現生人類が拡散し、考古学的な指標とされてきた石刃技法を有さなかったことが明らかである。この原因は自然環境条件の差異に基づく可能性が高い。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
現生人類の出現とアジアへの拡散により地球上はホモ・サピエンスだけの世界となったが、それを石刃技法という特定の石器製作技術に結びつけて理解することが長期に渡り定説化してきた。しかしながら、これは研究が先行した欧米中心の研究成果に過ぎず、アジア南部では複雑で複線的な人類進化と環境適応があったことが明らかになったことにより、人類史理解の枠組みが大きく変更を迫られたと言える。このことは、単線的な人類史を描きがちな人類学・考古学に対する根本的な問題提起を与えたことを意味し、学術的意義はきわめて高く社会的意義も大きい。
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