研究課題/領域番号 |
19H01343
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岸本 直文 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (80234219)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2020年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
|
キーワード | 古墳時代 / 前方後円墳 / 設計 / 類型墳 / 設計原理 / 倭国王墓 / 複製墳 / 実施設計 / 歩 / 築造規格 / 主系列 / 副系列 / 第3の系列 / 前方後円墳の系列 / 相似墳 / OP点間距離 / 尺度 |
研究開始時の研究の概要 |
急速に進歩する測量技術により、従来の測量図よりもはるかに精度高く墳丘の形状を把握できるようになっている。倭国王墓の変遷については、測量図による従来の比較作業から推移が見通され、また研究代表者は2系列があることや、さらに第3の系列の存在を指摘している。しかし倭国王墓の築造には、本来、個々に具体の割り付け設計があり、また数字による寸法が与えられたはずであり、精度の高い墳丘データがえられるようになったことで、設計仕様レベルでの比較検討が可能となっている。本研究は、最新データにもとづき前方後円墳の設計の実際を解明すること、また複数系列の存在を証明することで当時の王権構造に迫ることをめざすものである。
|
研究成果の概要 |
古墳時代前期後半の佐紀古墳群、中期の古市・百舌鳥古墳群の倭国王墓について、設計復元を行った。これにもとづき倭国王墓の連続性を検証し、2つの系列があることを確かめた。さらに倭国王墓に準じる第3の系列が存在することが明確となった。 倭国王墓の設計の手順は、墳丘長に対して、まず後円部径、次いで前方部幅、さらに稜線を決定し、墳丘のフレームが定まり、後円部と前方部前面の各段の割り付けを行う。この基本設計にもとづき、類型墳を複製する方法を明らかにした。複製するのは倭国王墓の大枠のフレームで、実際には、個別古墳の実施設計の際に、改めて後円部径・前方部幅を決定し、その上で各段の割り付けを行っている。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年研究が進む前方後円墳の設計についての理解を前進させることができた。課題がまだ多いが、古墳時代中期の巨大前方後円墳を中心に進められている研究を見直し、前期後半からの推移を明らかにした。さらに前期前半や後期まで含めた分析を進めることで、前方後円墳がどのように変化を遂げてきたのかを、設計レベルで解明することができるだろう。仕様の変化を明らかにすることは、前方後円墳に込められた意識の推移に迫ることでもある。 また、設計の具体的な手順や、倭国王墓の設計がどのように複製されているかについて見通しを得たことは、今後、各地の前方後円墳について、そのモデルを見極めていく上で、大きな成果といえるだろう。
|