研究課題/領域番号 |
19H01346
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐野 勝宏 東北大学, 東北アジア研究センター, 教授 (60587781)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | ホモ・サピエンス / 人口増加 / 狩猟 / 投射技術 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、出アフリカを果たして世界各地に拡散したホモ・サピエンスが、各地で人口増加を実現した背景の解明を目指す。旧石器時代狩猟採集民の人口増加に直接的に関与する可能性の高い狩猟方法の変化を探るため、ユーラシア大陸に拡散した直後のホモ・サピエンスが残した狩猟用石器と対象獣の解析をおこなう。また、ホモ・サピエンスの人口増加プロセスを正確に復元するため、初期ホモ・サピエンス遺跡の体系的な年代測定とその解析をおこなう。これにより、ホモ・サピエンスが人口増を実現した要因とプロセスを多角的に検証する。
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研究実績の概要 |
本研究は、旧人は絶滅したのに対し、新人ホモ・サピエンスだけが人口増を果たした要因が、投槍器や弓矢を使った新しい投射技術の開発による効率的な食料獲得の実現にあったと仮定し、この仮説を狩猟用石器の実験考古学的分析、対象獣の動物考古学分析、遺跡年代値の解析により、複合的に検証することを目的とする。 イタリア・シエナ大学の遺跡形成研究、石器技術研究、石器機能研究、動物考古学を専門とする研究者と連携し、初期ホモ・サピエンスやネアンデルタール人遺跡から出土した資料のデータ解析を進めた。上記の分析により、今後実行予定である他のホモ・サピエンス遺跡出土資料やネアンデルタール人遺跡出土資料と比較検討するための基礎データを構築することができた。また、イタリア・シエナ大学の共同研究者が来日し、狩猟用石器の着柄方法や投射方法の評価に必要な投射実験を共同で実施した。実験試料に形成された衝撃痕跡は、デジタルマイクロスコープVHX-5000を用いて20倍-2000倍で観察した。実験試料の解析の結果、考古資料の分析において、投槍器を使用して投射したか弓を使用して投射したかを衝撃痕跡から識別するためには、追加実験が必要であることが判明した。そのため、来年度の以降に追加実験を行い、その解析を行った後にイタリアのシエナ大学で資料調査を進めることとした。これにより、ホモ・サピエンスとネンデルタールの狩猟方法の狩猟方法の違い、ならびにホモ・サピエンスの文化段階による狩猟方法の変化に関して考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イタリア・シエナ大学の共同研究者と共同で、遺跡出土資料を評価する上で必要な基礎データの整理と解析を進めることができた。また、実験データの解析を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、イタリアにおいてホモ・サピエンス遺跡とネアンデルタール人の遺跡から出土した石器の調査分析を進め、両者の狩猟方法の違いを明らかにするための基礎データを構築する。また、それらの結果を総合的に考察し、ホモ・サピエンスの人口増加の背景に、狩猟技術の革新があった可能性について検証する。
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