研究課題/領域番号 |
19H01351
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
|
研究機関 | 公益財団法人中近東文化センター |
研究代表者 |
松村 公仁 公益財団法人中近東文化センター, アナトリア考古学研究所, 研究員(移行) (60370194)
|
研究分担者 |
山本 孟 山口大学, 教育学部, 講師 (90793381)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2019年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
|
キーワード | ビュクリュカレ遺跡 / トルコ共和国 / アナトリア / カールム時代 / アッシリア商業植民地時代 / ヒッタイト / 紀元前2千年紀 / ヒッタイト時代 / 中近東 / メソポタミア / 紀元前2千年紀 / 交易網 / 地名考証 / 中期・後期青銅器時代 / ビュクリュカレ / 紀元前2千年 |
研究開始時の研究の概要 |
西洋文明の中核をなす古代ギリシア文明と専制君主制を培ったメソポタミア文明は、現在のヨーロッパから中東諸国の国際情勢を理解する上で重要な文明である。しかし、考古学的には何れの文明もこれまで独立した形で論じられる場合が多かったため、両文明の関わりについてはあまりにも不明な点が多い。 本研究では前2千年紀前半に存在したメソポタミアとのアナトリア交易網がギリシア世界にまで及んでいたことを、両者に狭まれたアナトリア高原中央部に位置するビュクリュカレ遺跡の考古学的調査、文献研究から解明し、現代西洋文明につながるメソポタミア文明という新たな視点を生み出そうとする。
|
研究成果の概要 |
中央アナトリアに位置するビュクリュカレ遺跡は、考古学的調査によりヒッタイト王家との強い結びつきを示す遺物が複数出土し、文献研究からはヒッタイト王家にゆかりある都市ネナッサの可能性が提起された。また、ビュクリュカレの破壊層の年代はネナッサの破壊された歴史と一致した。さらに当遺跡で出土したガラス壺はフリとの強い結びつきを示し、文献資料によればネナッサはフリと手を結びヒッタイトを侵略したとされる。これらのことからビュクリュカレ遺跡が古代都市ネナッサであった可能性は極めて高い。この研究成果は前2千年紀前半のメソポタミアとアナトリア両地域間の交易網の西アナトリア、エーゲ海地域への拡がりを示唆する。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、前2千年紀前半のメソポタミアとアナトリア両地域間の交易網が西アナトリア、さらにはエーゲ海地域への拡がりを示唆する。交易網のエーゲ海地域への拡がりはメソポタミア文化のギリシャへの伝搬を裏付けるものである。さらにビュクリュカレ遺跡と古代都市ネナッサの同定は、この時代のアナトリアにおいて古代名が同定された都市は数えるほどしかない状況において極めて大きな成果といえる。さらに、従来ヒッタイト王家の居住地でのみ出土していたフリ語楔形文字粘土板文書が当遺跡で発見されたことは、従来のヒッタイトの定説を大きく塗り替える潜在的意味を持っている。
|