研究課題/領域番号 |
19H01352
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 伊達市噴火湾文化研究所 (2020-2022) 北海道博物館 (2019) |
研究代表者 |
添田 雄二 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 専門委員 (40300842)
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研究分担者 |
永谷 幸人 伊達市噴火湾文化研究所, その他部局等, 学芸員 (10844269)
青野 友哉 東北芸術工科大学, 芸術学部, 准教授 (60620896)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 噴火 / 津波 / アイヌ文化 / 17世紀 / 伊達市 / アイヌ民族 / 環境復元 / 17世紀 |
研究開始時の研究の概要 |
アイヌの伝統文化は、近代以降、日本社会への同化政策の影響で急速に姿を消した一面があり、限られたデータや先入観によって作られたアイヌ文化のイメージが歴史的視点を欠いた状態で紹介される場合が多く、アイヌ文化の歴史的変遷や多様性が正確に認識される大きな妨げになっている。そこで本研究では、年代が明らかな17世紀の巨大噴火、津波の痕跡を軸としてアイヌ民族の遺跡(コタン=村)を発掘し、アイヌ文化の歴史的変遷と多様性を正確に伝える上で最も重要な考古学的基礎データを収集、蓄積しつつ、各種の科学分析を取り入れた学際的研究によって、その背景にある自然環境との関わりを明らかにする。
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研究成果の概要 |
年代を限定できるアイヌ文化期の遺跡の調査を中心に関連分析を行い、新型コロナウイルスの関係で実施内容は限定的となったが、以下の成果が得られた。1640年から1663年に限定された畑跡は、これまでに確認されていた有珠地区での分布範囲よりも広範囲に存在しアイヌの居住地と大きく重なることが指摘できた。このことは狩猟採集民であるアイヌが本格的な農耕も同時に行なっていた可能性を示す事例といえる。また、ホタテガイ殻製灯明皿の残存脂質分析を行い、これまで知られていた海獣類や海産魚類の油ではなく陸獣の油も使用していた可能性が推定されたなど、アイヌ文化の歴史性や多様性、地域性を示すことができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
17世紀の北海道の記録は断片的にしか残されていないため、1640~1663年に限定される遺構・遺物の分析からアイヌ民族の生活や自然災害を高分解能で明らかにできたことは重要である。また、これまでアイヌ文化については、限られた地域での古老への聞き取り調査の結果が、歴史的視点や地域性を欠いたままアイヌ全体を表すものとして定説化してしまっていた部分が多々見られたのが現状である。研究代表者は、所属が変わったことで胆振地域(伊達市)での研究成果を遠く離れた十勝地域でも公表したことにより、より多くの人々にアイヌ文化には豊かな歴史性や多様性・地域性があることを具体的データで示し伝えることができた。
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