研究課題/領域番号 |
19H01385
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04020:人文地理学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
外川 健一 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (90264118)
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研究分担者 |
阿部 新 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (30436745)
佐々木 創 中央大学, 経済学部, 教授 (40634100)
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
浅妻 裕 北海学園大学, 経済学部, 教授 (70347748)
木村 眞実 東京都市大学, 環境学部, 准教授 (80516865)
岩田 奇志 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (90515446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2021年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2019年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 中国 / アジア / 自動車リサイクル / 産業政策 / 電池リサイクル / 華人 / 資源リサイクル / グローバリゼーション / インフォーマル・セクター / 自動車バッテリー / 華僑 / 東南アジア / 台湾 / ミャンマー / 自働車リサイクル / 次世代自動車 / 自動二輪リサイクル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではこれまで我々の研究グループが、あえて中心に据えてこなかった中国における自動車リユース(中古車市場、中古部品市場分析)、そして自動車リサイクル(自動車由来のスクラップ加工や廃棄物の処理状況)について、文献調査に加え、現地調査を活用しながら、その特質を明らかにする。その際に、これまで中国を中心としたリユース、リサイクルの国際分業にどのような歴史的変化があったのかについて注目する。また、東南アジア諸国では多くのムスリムやインド系の企業家とともに、中国系の企業家が自動車リユース、リサイクルビジネスに参入しているので、彼らの経営戦略の特徴と、地理的ネットワークの活用に焦点を絞って研究を行う。
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研究実績の概要 |
研究初年度は文献調査および先行研究のサーベィ、中国の事情に詳しい学識者、商社の方へのヒアリングを進めた。 また現地調査は、北京に立地している日本資本が唯一入っている自動車解体業者を見学し、創業以来の経営状態や今後の見通しについて聞き取り調査を行った。その結果、中国の自動車リサイクル政策も共産党政権の指導強化により、フォーマルセクターとインフォールセクターの二分化が一段と進んでいることが分かった。また、北京では信頼できるルートで中古車オークション会場の調査を行った。ここでは大都市から地方への移動である「中古車は田舎へ」という傾向は、北京、上海、広州などで実施されているナンバープレート制限により、買い替えのために中古車を買うことはないため、中古車が大都市から域外へと流出するメカニズムをうかがい知ることができた。また、上海でも年間3万台の使用済み自動車をリサイクルしている大規模自動車解体工場を視察したが、在庫の使用済み自動車・中古自動車部品に対して、日本並みの情報管理システムを導入していた。また広州の現地調査も行ったが、近代化された建物の中での操業を目のあたりにし、中国都市部のフォーマルな自動車リサイクル業のハード面での変化は着実に起こっている。 また、当時は民主化が進み日本製の中古車が輸出され始めたミャンマーの自動車リサイクル市場を中国の進出を意識しながら調査を進め、論文も公にできた。 自動二輪に関しては、東南アジア諸国の現地調査と、台湾の制度研究・現地調査を進めた。とくに後者ではデポジット制度の効果を確認することができた。 中国のEV化戦略に伴うリチウムイオン電池については、中国がリン酸鉄系の電池生産が多いため、日本や韓国産とはリサイクルも異なる可能性を見いだせた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は現地調査を中心に、中国の自動車リサイクルシステムの変容や香港の果たしている役割、東南アジアにおける華僑系リサイクラーの経営戦略などを調査する予定であったが、、北京や広州の予備調査以外は研究分担者の自主的な研究によって若干研究が進行したくらいで、とくに2020年に入ってから新型コロナウィルスの影響で、台湾の自動二輪のデポジット制度研究を例外として、ほとんど海外調査ができなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は新型コロナで現地調査が難しかったので、文献調査やインタビュー調査、並びに現地事情に詳しいシンクタンクや商社への聞き取りを進めた。2021年度も同様な研究スタイルをとる予定である。必要とあれば役務契約を行い、とくにEV化が進む中国でもリチウムイオンバッテリーの生産とリサイクルシステム構築の動向に関して調査を続ける。 2019年に訪問した北京の自動車解体業者および中古車市場とは、ある程度の信頼関係ができているのでオンラインで意見交換を行い続ける。(ただし、中国の現地研究はますます難しいものと思われる。) 中国本土はもちろん台湾やベトナム、タイやマレーシアにおいてもこれまで培ってきた研究ネットワークを通じて、学術的な情報交換を続ける。 また、BIR: Bureau of International Recycling をはじめとする業界団体主催の国際ウェビナーなどの会議に積極的に参加し、中国およびアジア諸国のリサイクル事情について、欧米と比較しながら研究を深める。 また、ワクチン接種が可能となり、海外訪問調査ができる体制が整ったら、可能な限り現地調査を進める。
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