研究課題/領域番号 |
19H01388
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
佐久間 寛 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (80726901)
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研究分担者 |
中山 智香子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (10274680)
酒井 隆史 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 教授 (20343410)
河野 正治 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (20802648)
松村 圭一郎 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (40402747)
深田 淳太郎 三重大学, 人文学部, 准教授 (70643104)
箕曲 在弘 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70648659)
生駒 美樹 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (70838797)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 負債 / 人類学 / 民族誌 / 経済思想 / 社会思想 |
研究開始時の研究の概要 |
人間にとり負債とは何か。本研究では、この問いの答えをアジア、アフリカ、オセアニア、ヨーロッパ諸社会の民族誌的事例を通じて探求する。現金の貸し借りであれ、恩や義務であれ、負債は人間を隷属状態におく契機ともなれば、社会結合や事業を生み出す創造的契機ともなる。経済・政治・倫理にまたがるそのプロセスを通文化的に比較研究することにより、他者に負うという経験のダイナミズムを明らかにする。
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研究成果の概要 |
D・グレーバーが拓いた文化人類学的な負債論の地平を、アジア、アフリカ、オセアニアの各地の事例研究を通じて批判的に乗り越えることを目指す本科研プロジェクトでは、全13回の研究会を通じて各々のフィールドについての調査報告(のべ36本の口頭発表)と全体討論を重ね、その成果を(1)2021年度日本文化人類学会公開シンポジウム「人類学からみる現代世界の信用と負債―「人間の経済」に向けて」の開催、(2)雑誌『フィールド・プラス』の特集「デット―「負債/負目」研究の最前線」(2022年1月)の編纂、(3)論集『負債と信用の人類学:人間経済の現在』(以文社、2023年)の出版などを通じて発信した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
「負債(Debt)」が借金や債務などの経済的次元と同時に恩や負い目などのモラルと関わることに着目したグレーバーは、金融資本の世界史的運動が私的利益の追求という経済的動機ばかりでなく「借りたものは返さねばならない」というモラルに支えられてきたことを解明した。本科研では、こうしたグレーバーの視座を継承しつつも、各地の事例の検証から負債をあえて完済しない社会や負債の計量化を拒む社会の姿を導出し、書籍等の形で発表した。こうして負債のモラルの多元性を明らかにすると同時に、世界的な金融危機を周期的に発生させてきた非人格的な負債の暴力を批判的に再考する余地を示した点に、本科研の学術的および社会的意義がある。
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