研究課題/領域番号 |
19H01406
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
李 英美 明治大学, 商学部, 専任教授 (00449109)
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研究分担者 |
山下 達也 明治大学, 文学部, 専任准教授 (00581208)
三田 剛史 明治大学, 商学部, 専任准教授 (00624107)
村上 一博 明治大学, 法学部, 専任教授 (10212250)
土屋 光芳 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (20197726)
高田 幸男 明治大学, 文学部, 専任教授 (90257121)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2020年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
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キーワード | アジア留学生 / 留学経験 / 東アジアの近代法学ネットワーク / 東アジアの日本留学 / 九州大学文書館 / 台湾文化協会 / 韓国調査 / アジアにおける校友ネットワーク / 朝鮮総督府 / 中国の留学教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国・韓国・台湾・東南アジアから日本に渡った留学生を媒体とする日本と東アジア・東南アジア諸地域との学的系譜、人的基盤を明らかにすることにより、19世紀末から20世紀前半の東アジア・東南アジアの近代化過程に与えた日本の影響の全貌解明をめざすものである。 そのため留学生の動向に注目し、日本でどのような学問を修め、どのような人的基盤を形成し(留学経験)、それが帰国後の活動とどう相関するのかを追及する。留学経験という概念を用い、法学、教育学、経済学、政治学、歴史学、アーカイブ学など学際的アプローチを試みることで、多面的な成果が得られると考えている。
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研究実績の概要 |
中国の政府・大学機関内の元日本留学生を調べるため、『民国職員録彙編』の史料を購入した。その他に『商科同窓会名簿』や中国、台湾、韓国からの日本留学生に関する複数の研究書を購入し、内容の検討をおこなった。また、中国上海図書館が運営する中華人民共和国成立以前の新聞雑誌の有料データベースである「全国報刊索引」が期間限定で無料公開されたので、明治大学に関する記事を検索・抽出し、それらを制限範囲内でダウンロードして、当時の明治大学の知名度や当時の明治大学に対する関心事などについて検討した。 引き続き、前年同様に韓国・朝鮮人の明治大学留学生のデーターベース入力作業も行った。また、海外研究者との間の交流や研究会、国際シンポジウムの共催および相互参加などについて打診を行っていた。結果、韓国延世大学グローバル創意融合学部歴史文化学科教授李泰勲先生との間に研究交流について、合意を得た。 さらに引き続き、国内外の史料調査・インタビューの実施を検討したが、コロナ禍による政府の移動制限、大学の出張制限が緩和されないため、オンラインでできる範囲で史料収集や情報交換をおこなうこととし、国内外の研究者との交流のため会議システムを購入した。また、本プロジェクトの研究会や会議などの際にも使用し、研究会開催がよりスムーズに運べるようになった。 そして、9月には台湾在住の卞鳳奎氏に日本統治時代の台湾における日本留学生についてオンラインで報告していただき、11月には九州大学文書館の藤岡健太郎副館長にも同館の留学生関係史料の所蔵状況などについてオンラインで紹介していただき、それぞれ意見交換をした。10月には台湾の国立台北大学で台湾文化協会百年国際シンポジウムが開催され、村上一博と高田幸男はオンラインで参加し、それぞれこの間の成果を発表し、台湾およびに本の出席者と意見を交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本プロジェクトの当初の計画では、2020年度は韓国で国際シンポジウムを開催する予定であったが、政府の移動制限や大学の出張制限、および入構制限により、国内外の史料収集やインタビュー、大学院生のアルバイトによるデータベース入力作業などができない状況が続いたため、実行できなかった。 そうした中でも、幸いに韓国人留学生に対する特別措置として自宅でのデータベース入力作業は続き、戦前における韓国・朝鮮人の日本留学生については作業が行われていた(『親日人名辞典』韓国民族問題研究所、2009年。全3巻)。その後、入構制限は年度後半に緩和され、大学院生によるデータベース入力作業は1月より再開したが、オンライン交流を踏まえた九州大学文書館の調査は、出張制限が解除されないため、当年度の実施を断念した。 そうした中であっても、本プロジェクトの研究会は前年度に続き、絶えることなく依然としてオンラインによって隔月の間隔で行われていた。また、研究分担者による『大学史紀要』への論文の投稿と、明治大学大学史資料センターのウェブへの原稿アップも弛まず続いていた。前者の場合、後述の研究成果の欄に詳しく記載するが、村上一博が2点と、後者では山下達也「日本統治期朝鮮における校友会活動」、村上一博「立川雲平 島崎藤村『破壊』に登場する市村弁護士のモデル」、同「富谷鉎太郎 明治大学第3代学長となった大審院長」、同「磯部四郎 日本近代法学の巨擘」、同「利光鶴松代言人から小田急電鉄社長に」、高田幸男「台湾文化協会と台湾人明大生」がある。 さらに、明治大学の全キャンパスで全学部・全学年を対象として、本プロジェクトの研究分担者が受け持って行っていたオムニバス形式の総合科目「明治大学の歴史」講義もオンライン対応で実施を続けていた。しかし、共同研究室の応募には三度落ちることになった。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の中間的まとめとして、次年度のオンラインによるシンポジウム開催を決定するなど、オンラインで可能な限りの史料収集や学術交流、成果発信などを推進しつつ、今後の移動・活動制限のさらなる緩和に対応して速やかに国内外の調査が本格的に実施できるよう準備をすすめることにした。特にオンラインによるシンポジウムには、留学生を送り出した側の韓国、台湾、中国の研究者を参加させ国際シンポジウムとして発展させ、それらの国の研究観点を取り入れるべきであると考える。そのためには、海外の研究者の招聘には時間が要されることから、前もって準備しておく必要がある。 そして、オンライン上で可能なこととしてはつぎのようなことがあげられるが、これまでのとおり引き続きおこなうことにした。まず、オンラインの利用に全年度より少しばかり慣れてきた時点で、前年度からオンライン上で隔月の間隔で開催していた研究会を、月1回のペースに変更して継続することがあげられる。 つぎに、研究分担者による『大学史紀要』(第27号)への論文投稿と、明治大学大学史資料センターのウェブ「白雲なびく~遥かなる明大山脈」への原稿アップも続けることである。また、大学院生による中国の日本留学生関連のデータベース入力と、韓国人留学生による戦前の韓国・朝鮮の日本留学生関連のデータベース入力作業をつづけることである。 さらに、明治大学の全キャンパスで全学部・全学年を対象として、本プロジェクトの研究分担者が受け持って行っているオムニバス形式の総合科目「明治大学の歴史」講義も、オンライン対応で実施をつづけることである。 そして、オンライン上における資料の検索と入手(購入)と、国内外の各種図書館や資料館などのサイトに入って有無料の各種所蔵資料や研究論文などを探し出し、ダウンロードやプリントアウトなどの形で入手することにする。
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