研究課題/領域番号 |
19H01407
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
鈴木 賢 明治大学, 法学部, 専任教授 (80226505)
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研究分担者 |
清末 愛砂 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (00432427)
宮畑 加奈子 広島経済大学, 教養教育部, 教授 (20441503)
徐 行 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (30580005)
櫻井 次郎 龍谷大学, 政策学部, 教授 (40362222)
宇田川 幸則 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80298835)
岡 克彦 名古屋大学, 法政国際教育協力研究センター, 教授 (90281774)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 中国法 / 権威主義体制 / 抑圧的法 / 自律的法 / 新型コロナウィルス / 国家安全法 / 悪法 / 移行期の正義 / 政治の道具 / 習近平体制 / 以法治国 / 法の支配 / 民主化 / 台湾法 / 韓国法 / シンガポール法 / コロナ対策 / 一国二制度 |
研究開始時の研究の概要 |
「競争的国家資本主義経済+非競争的超権威主義政治」というカップリングのもと、「抑圧的法」が支配する中国にあって、制度的複合体としての法が、現実にいかなる役割を果たしているか、そしてそれにはいかなる現実的意義があり、また限界があるのかを明らかにする。「自律的法」ないし「応答的法」へ移行、変容するための条件ないし可能性について以下二つの視角から検討する。一つは文化的伝統が類似する東アジア3国の権威主義法との比較であり、もう一つは中国法内部に萌芽的に生じつつある「自律的法」生成の胎動に対する分析である。
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研究実績の概要 |
引き続きパンデミックが完全には収まらないなか、文献研究を中心に研究を進め、年度末にようやくそれぞれ1回ずつの現地調査を実施することができた。得られた知見の概要は以下の通りである。 中国法に関して。1 習近平集権体制が上から推し進める中国的法治(=「全面的依法治国」)は、法の内容如何を問わない「悪法も法なり」を前提とすることが明らかである。しかも、権力はその外形的な法治にも拘束されず、恣意的に行使されることを阻止し、問題化する仕組みはない。それでも「依法」の外観が重要だとされるのは、政治権力の正統性が低下しているため、外形的な合法性が言い訳として重要性を増している。2 習近平個人独裁体制の確立にともない総体的国家安全観なるものにもとづき国家安全を確保するための諸法が急速に整備されている。いわゆる国家安全法という法領域の形成が見られる。国家安全の核心は共産党一党体制の維持にあり、法律によって一党独裁体制を維持しようとするプロジェクトに他ならない。法がますます政治の道具として純化されている。 台湾法に関して。権威主義時代の過ちと向き合い、事実を記述し、補償、謝罪、記念をする一連のプロジェクトが、「移行期の正義」として展開するにつれて、かつての「白色テロ」時代に権力が何をしてきたかが暴かれている。このなかで改めて各種の人権侵害が、いかに法や司法を媒介として行われたかを示す資料が公表されている。これらの資料を活用して、権威主義体制のもとでの法の使われ方、役割、性質に関する一般的な知見を抽出する作業を行う必要性が浮上している。 香港法に関して。香港版国家安全法の施行により香港の自由、民主主義、人権、法の支配が急速に消失に向かっている。法の論理にどれだけの力が残されているかが今後試されることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外国調査を自由に行うことができていないために当初予定していたテンポでは進んでいない。しかし、年度末に入り、ようやく短いながら1回目の調査を台湾、香港、韓国で行うことができたので、遅れは取り戻しつつある。加えて、文献による調査研究を続けており、研究は目標に近付いている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の経費を2023年度に繰り越していただいたので、最終年度には予定通りの目標を達成できる見込みである。具体的には年度末までに総括的な国際シンポジウムを明治大学で開催する。数名の海外の研究者やNGO関係者の招聘を予定している。また、各研究分担者は総括的な論文を年度末を目途に執筆する準備を進めている。これらの論文を検討しあい、できれば1冊の書物として出版することを想定している。
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