研究課題/領域番号 |
19H01491
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
上田 晃三 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30708558)
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研究分担者 |
新谷 元嗣 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00252718)
飯星 博邦 日本大学, 経済学部, 教授 (90381441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | DSGEモデル / ベイズ推計 / ゼロ金利制約 / 行動経済学 / 量的緩和 / 量的緩和政策 / 近視眼的行動 |
研究開始時の研究の概要 |
DSGEモデルは、現代のマクロ経済学における標準的分析ツールであるものの、多くの限界が指摘されている。本研究では、第1に名目金利のゼロ制約を考慮し、第2に「経済主体は将来の経済状態について完全には理解しない」とする行動経済学要素を取り込んで、モデルを構築し推計する。そして、得られた推計値から、金融政策、特にフォワードガイダンスの効果、など政策シミュレーションを実施する。こうした研究は、計算負荷の高さからいまだ存在しないだけでなく、高い現実妥当性から学術的にも政策的にも重要性が大きい。
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研究実績の概要 |
DSGEモデルは、現代のマクロ経済学における標準的分析ツールであるものの、多くの限界が指摘されている。本研究では、第1に名目金利のゼロ制約を考慮し、第2に「経済主体は将来の経済状態について完全には理解しない」とする行動経済学要素を取り込み、第3に量的緩和政策のチャネルも考慮した、モデルを構築しベイズ推計する。そして、得られた推計値から、金融政策の効果など政策シミュレーションを実施する。 こうした研究は、日本はおろか海外でも未だ存在しない。計算負荷の高さからいまだ存在しないだけでなく、高い現実妥当性から学術的だけでなく政策的にも重要性が大きい。また、Gabaix (2020)のアイデアを取り込んだ行動経済学的要素によって、フォワードガイダンス・パズルが解消するなど、金融緩和の効果について、日本などの低インフレの経験とより整合的な評価が可能となる。これまでゼロ金利制約を考慮したモデルは不安定(非決定、indeterminacy)になることが多く、推計の妨げとなってきたが、行動経済学的要素によって均衡解が安定となるパラメータスペースが拡大し、推計がより容易になることが予想される。こうした政策効果の再評価は、失われた20年の日本の経験や欧米での長期不況(secular stagnation)という重要なマクロ政策課題に新たな知見を与えるものと期待 される。 派生的に、銀行取引データを使った分析も進めた。個人の消費・投資行動をミクロデータを使って分析することで、上記DSGEモデル構築の礎を確認・改良することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、モデルの構築、解の特徴の分析、そして、推計を行った。また、その基礎となるモデルの構築・推計を行い、国際的に評価の高い学術誌への掲載が受理された。また、新たな論文は、マクロ経済・金融でフィールドトップの学術誌から改定要求を受けた。
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今後の研究の推進方策 |
役割分担として、上田(研究代表者)は、ゼロ金利制約および行動経済学的要素、そして、量的緩和政策を考慮したDSGEモデルを構築するほか、論文執筆および国内外での研究成果の発表など、統括的役割を担う。新谷(研究分担者)は、主に推計に関する提案、論文修正のほか、研究発表などを行う。飯星(研究分担者)は、DSGEモデルの合理的期待解の導出、推計、そして、シミュレーションなどを行う。廣瀬康生(慶応大学)は、研究分担者ではないが、今回の研究に参画している。彼は、ベイズ推計で多くの業績があり、特に実証面において、我々の研究の発展に貢献している。また、渡辺広太(キヤノングローバル戦略研究所、東京大学)は研究協力者として物価研究の補助をする。
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